サイゾーウーマンカルチャー女性誌レビュー男子目線のOL雑誌「steady.」に隠れていた、宝島社の”一本気”気質 カルチャー [女性誌速攻レビュー]「steady.」11月号 男子目線のOL雑誌「steady.」に隠れていた、宝島社の”一本気”気質 2011/10/12 16:00 女性誌速攻レビューsteady. 「steady.」11月号(宝島社) 先月から「steady.」のレビューを書き始めたのですが、記事掲載後に「steady.」編集部の方がじきじきに「女性誌レビューをいつも指をくわえて見ていましたが、ようやくうちの存在に気づいてくれましたか!今後も楽しい突っ込み期待しております!」とtwitter上でつぶやいてくださいました。だからというわけではないんですが、バックナンバーを読み返してみると、読者の要望に細かく答える姿勢が誌面から伝わってきて、まるで「後輩OLの健気な姿を見て、見方が変わる」という気持ちを抱いたお局みたいになってきました。だからこそ、その行いを細かく見て行きたいと思います!! <トピック> ◎読者1000人が総選挙! すべらない服 神7 ◎徹底調査 女の思い込みVS男のホンネ ◎マツコ・ヨットスクール 丁さんご夫婦の向こうに両親の姿を見た気がして、一晩中泣き明かしました 今月号の第1特集の「すべらない服 神7」には、『人志松本のすべらない話』とAKB48の「神7」から持ってきたと思われるコピーが躍っていますが、「Domani」(小学館)のように企画内容よりもドヤ感先行、というわけではなさそうなので、そこにはあえて触れません。 筆者もOL経験があるので身をもって学びましたが、「すべりたくない」というのは、会社で誰かから「場違いな服を着ている」と言われる恐怖よりも、限られた給料を間違った服に費やしてしまう悲しさを味わいたくない、ということの方が大きいでしょう。 そこで「すべらない」コーディネートの1位は、結局のところロングカーデにワンピという甘めOLの鉄板の組み合わせに。地に足をつけて普通に生活をするためには、冒険や背伸びなんて意味ないのです。ちなみに2位はキュロットパンツ、3位はボウタイブラウス、以下ニットポンチョやえり付きレトロワンピなど、激甘なアイテムを使ったコーディネートが今月も満載です。 ■実は「甘甘」な誌面に胸やけぎみ? ただ今月号は、自分で自分の首を絞めるようなびっくり企画があるのも見逃せません。「徹底調査 女の思い込みVS男のホンネ」というページでは、男女の思い違いが分かりやすくまとめられています。が……、女子が「花柄ワンピってやっぱり鉄板ですよね」というのに対して、男子は「引いた経験アリ!! みんなが好きなワケじゃない」などと、男女のすれ違いっぷりが明らかに。予想はしていたものの、「steady.」にとってはアイデンティティーを揺るがすような結果となっていました。ほかにも「甘めの可愛い系が好きでしょ?」という女子に対し、「いかにもすぎるのは逆に苦手かも……」とこちらでも男子は「甘さ」に引き気味です。 ところがその特集の端々に、「読者代表もショーゲキ!!」とか、「全国読者の思い込みを男子がホンネで突っ込みます!」と、読者に何かを訴えかけたそうな文字が躍っているではありませんか。実は編集部は「甘甘」な誌面に実は胸やけしているのだろうか? と勘繰りたくもなってしまいます。 昨今では、「甘め」が定番と思われてきた光文社系の雑誌が「辛口ファッション」を提唱しているのに対し、個性的な女の子のための雑誌の数々を世に送り出してきた宝島社が、ガチで「甘め」に取り組んでいることを不思議に思っていたのですが、昔から宝島社の雑誌に共通する「男の目線ではなく、私がいいと思ったものを貫く!」というような精神は、実は「steady.」にも受け継がれているのでは。逆に「辛口」に転向しつつある光文社は、意外と今でも男性の意見をきっちり取り入れて「辛口」に移行しているのかもしれません。 ■マツコ・デラックスが心を許しているのは「steady.」だった!? 先月号は初めてのレビューということで、マツコ・デラックスと「steady.」の関係性というのがいまいち把握できていなかった点が反省されるのですが、今月のコラムを読んだところ、もしかしたらマツコ氏が一番気を許している媒体は、なにを隠そう「steady.」なのではという気さえしてきました。 そのマツコ氏が今月のコラムネタに選んだのは、フジテレビで2006年に放送されたという『泣きながら生きて』というドキュメンタリー。この番組は単身で中国から日本に渡って過酷な労働を続ける丁さんとその家族の半生を追ったもので、マツコ氏は丁さん夫婦に自分の父母を重ね合わせて見てしまい、自分の生き方を問うて泣いてしまったということです。テレビでは見せない、弱い部分をさらけだせる場が「steady.」だというのも何か不思議ではありますが、マツコ氏が「steady.」読者に深い話をすることで、「いい女」になってほしいという思いもあるのかもしれません。 蝶々の連載「オヤジを制する者は上司を制す」でも、「今のこんな世の中で、ちゃんとお勤めし続けて、自分の生活費やおこづかいをゲットしてるだけでも、今の女の子たち、私は本当にすごいと思う。えらいよ!」と書いてありましたが、「steady.」を定点観測していると、確かに筆者にも妙に応援したい気持ちが湧いてきます。この感情の正体は何なのか。また来月号を楽しみにしたいと思います。 (芦沢芳子) 「steady.」 女性誌=無難と自我のせめぎ合い 【この記事を読んだ人はこんな記事も読んでます】 ・起用モデルや誌面作りから漂う……「steady.」は女性誌界の田中みな実! ・「STORY」が変化! ギラギラ色が薄まり、「自然体」路線へ? ・「きちんといい女」の条件は5分前行動! 「Domani」に宿る小さな狂気 最終更新:2011/10/12 16:00 次の記事 安めぐみ、結婚の基準は「この人と、おじいちゃんになっても○○○できるかな」 >