「婦人公論」の“みのもんた×林真理子対談”で、寒すぎる夫婦愛コント
■ツッコミ不在の、みの&林劇場
安倍晋三×幸田真音など新春らしく豪華な対談が目白押しの「婦人公論」ですが、メンツの濃さではこの組み合わせに勝てるものはありますまい。「林真理子×みのもんた 妻を喪った男はなぜ迷走するのか?」。次男の窃盗未遂報道、自身のセクハラ疑惑などでバッシングを受けて番組を降板したみのもんたと、彼とは旧知の仲であるという林真理子。自身もデビュー時に「大変なバッシングを受けた」という林先生がみのの本音に迫るという内容ですが、まさにタヌキとタヌキの化かし合い。一瞬たりとて気を抜けない対談となっています。
週刊誌などのバッシングに対しては「事実を大きく曲げられている」と否定する一方で、成功者だからこそ受けねばならない妬み嫉みであると慰め合う2人。そして随所随所に挟まれる「妻を喪った男」みのもんたのコントのような妻賛美……。
「あのぉ……。(涙声で)生きていてほしかったですね。相談できたし、余計なことをしゃべってはダメよとアドバイスしてくれたでしょう」
そして、みの劇場に華麗に乗っかる林先生。
林「今、お食事はお手伝いさんが?」
みの「女房の味に慣れてるから、ほかの人が作ってくれた料理はどうもね。彼女が大事にしていた糠床を毎日かき混ぜて、漬物を食べてます」
林「『しっかりね!』という奥様の声が聞こえてきそう」
とまあ、ここまでならギリギリ『ごちそうさん』(NHK)オマージュとして受け付けますが、
みの「今年は再婚したいですね」
林「ええっ! それってスクープじゃないですか! どなたとですか?」
みの「女房と」
と、ここまでくると仏の「婦人公論」読者も黙っちゃいないでしょう。そもそもどうしたセクハラのほうは!! 妻を喪った可哀想な男、「忙しくなる時期と次男の成長期が重なって、接する時間が短かった」息子の責任を取って仕事を辞めざるを得ない不憫な男、という被害者ベースの話ばかり。週刊誌のネタがウソばかりというのであれば、セクハラ疑惑に関してもキチンと触れてほしかったです。それとも糠床になった奥様が「余計なことをしゃべってはダメ」とでも言ったのか……? まさに糟糠の妻。
この対談後には「福原愛 “不祥事パパ”との絶縁 その深き恩讐とは」というヘビーな父娘関係のページもあり、みのと次男同様の「父と子」がテーマでもものすごい高低差がありますので、ご注意を。
しかしながら「銀座の帝王」だの「夜のクラブ活動」だのをあだ名されているみのもんたの「亡き妻と再婚したい」という寒すぎるギャグは、大石静先生渾身のボケ「浮気してはじめてわかる、パートナーの素晴らしさ」の進化形と考えれば納得がいきます。声を大にして言わせてください……ひとり相撲か!! 果たしてみのが、糠床になった妻から、水道メーターから、テレビ局から「自立」する日は訪れるのか。生温かく見守りたいと思います。
(西澤千央)