仁科友里の「女のためのテレビ深読み隔週報」

西川史子、離婚の背景に蠢く、“最愛の母”からの教えとは?

2014/01/18 18:00

 しかし、西川はマニュアルを過信しすぎて、足元をおろそかにしてしまった。西川が昨年の夏に披露したエピソードを紹介しよう。猛暑で、毎日シャワーで済ませていた西川だが、たまには湯船につかろうとお湯をはった。しかし、30分お湯を貯めて入ったものの、熱くて3分もしないうちに上がってしまう。元夫にもったいないと咎められた西川はカチンと来て

「それじゃ、あなたにいくらお支払いすればいいのかしら?」

 と言ったそうだ。「カネを出すから文句言うな」という口ぶりから感じられるのは、夫への尊敬心のなさと見下しである。相手の尊厳を傷つけてしまっては、手料理やジェンヌ直伝メールもまるで意味がない。

 西川が夫に尊敬を求めていたことは、「バカだな、ダメだなと男に言われることが夢だった」という発言からも伺える。バカだと言われることをうれしく感じるのは、男が西川より「格上」で愛がある場合のみ、である(同等、格下の男に言われたら、単なる侮辱)。西川の意識の中で、元夫は「格下」で尊敬できなかった。同じ言葉でも、尊敬できる男に言われるのと、そうでない男に言われるのでは、受け止め方が違うのが、女心というものである。

 それなら、西川が「格上」であると感じられる男性はどんな人かと言えば、それは「医者」である。元夫との結婚が決まった時、西川は母親に「相手が医者でなくてごめんなさい」と謝ったそうだが、これは西川母にとっての理想の相手が医者であったことをほのめかしている。母親の良しとするものを無条件に追い求めてきた西川にとって、母親の気に入らないものは「価値がないもの」「見下してよいもの」だったのではないだろうか。


 母と娘の関係は、信仰に似ている。どっぷりと心酔してお告げに従う人もいれば、時折頼りにする人、まったく興味がない人もいる。西川は言うまでもなく「心酔派」である。母の願いを叶えるために生きてきた西川は、「自由」に慣れていない。こういう人は、ヘタに自分で考えずに、母親の選んだ人と結婚する方がラクである。母親が良いと言う人なら、誰でも西川は受け入れられるはずだ。

 なぜなら、西川は医者になりたいわけでも、結婚したいわけでもなく、母親に褒められるためだけに生きているのだから。

仁科友里(にしな・ゆり)
1974年生まれ、フリーライター。2006年、自身のOL体験を元にしたエッセイ『もさ子の女たるもの』(宙出版)でデビュー。現在は、芸能人にまつわるコラムを週刊誌などで執筆中。気になるタレントは小島慶子。
ブログ「もさ子の女たるもの

最終更新:2015/02/10 17:22
『女盛りは、賞味期限が切れてから』
一生、母の洗脳に気づかない娘もいるのかも