カルチャー
[女性誌速攻レビュー]「美ST」12月号

菜食主義、愛情ホルモン、プチ整形――「美ST」に感じた“流行”の恐ろしさ

2013/11/15 20:30
「美ST」2013年12月号/光文社

 「美ST」12月号(光文社)の表紙は、中谷美紀。彼女は数年前までごりごりのベジタリアンで知られていました。北インド旅行をきっかけに肉を食べることを止めたという彼女。著書『インド旅行記2』(幻冬舎)の「私が肉を食べないわけ」という項に次のように記しています。

「ピーター・コックス著『ぼくが肉を食べないわけ』をこれもまた興味本位で読んでしまったことも、頑にベジタリアンを続ける理由になった。(中略)劣悪な飼育環境で虐げながら育った家畜たちが、尊厳などまるでない死に際して、極度の恐怖と苦痛からストレスホルモンを分泌し、それが肉片にも残留するという話だった。ストレスホルモン満載の肉なんか食べたら、ただでさえストレスの多い人間がさらにイライラするのも必至かもしれない。飼料だって、肉骨粉が与えられ続けたようだし、病気の予防にと、抗生物質などの薬まみれになった肉は、もう、食べたくない」

 その後、5~6年くらいベジタリアン生活を続けたようですが、「分子整合栄養医学」なる栄養療法と出会ってから今は肉食生活に転向しています。今月号のインタビューでも、

「お肉は、菜食だけでは補えないたんぱく質や鉄分などが豊富で、疲労回復や美肌に欠かせない食材。牛の赤身を中心に鶏も豚もまんべんなく、バラ肉だって平気でいただきます。体が欲している栄養素を効果的に補うようになってからは、めったに風邪をひかなくなり、倦怠感や頭痛、冷えといった未病やアレルギー症状も緩和。ありがたいくらい元気で肌も丈夫に、細胞レベルでの改善効果を実感しています」

 と語っていました。ほんとにもー、なぜこの人はまたこんなことを言うんですかね。菜食から肉食に変わったこと自体は別にいいんですよ。誰だって年とともに健康法、美容法は変わるものでしょう。ただ、言葉のセンスがないっつーか、なんつーか。「ストレスホルモン満載の肉」も「細胞レベルでの改善効果」も、何を根拠に語っているのでしょうか。「お肉を食べたら、なんだか元気になった」と言うくらいにとどめておけばいいのに。影響を受けやすい脳細胞ゆるふわ女子が、今ごろギトギトのバラ肉をむさぼり食ってますよ。筆者は激おこホルモンが分泌マキシマムになるのを実感しました。ああ、美容に悪いわ。

<トピック>
◎特集1 40代、すっぴんくらい見せられなくて、どうする!
◎美まっしぐら! ホルモンヌちゃん
◎私は見た、ヒアルロン酸注射で腐った鼻

■「無痛分娩は愛情ホルモンが出ない!?」って本当?

 連載マンガ「美まっしぐら! ホルモンヌちゃん」を見てみましょう。「ホルモンヌちゃん」は、子宮のゆるキャラ。現在妊娠中で、いよいよ妊娠後期に入りました。無痛分娩を計画していますが、「私らしい自然なお産」を目指す妊婦の友人「タイバーヌちゃん」(←胎盤のゆるキャラ!?)から「陣痛中は愛情ホルモンがたくさん出るのよ? 母になる最高のひとときなのに~」と非難されてしまいます。また、夫の立ち会いを希望していますが、実の母親から「夫が立ち会うと産後のセックスレスにつながるかも」と脅されます。これに対し、おっぱいをかたどった女性医師「パイパイ先生」が「無痛分娩だって愛情ホルモンは分泌されます」「立ち会いがセックスレスに直結するとは限らないですよ」と指摘。また、産婦人科医の宋美玄氏も、「『自然分娩』とは何なのか? 明確な定義はありません」「理想の出産は母と子が安全であることが大前提」と解説を加えています。

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