[ジャニーズツッコミ道場]

過剰なバラエティ感と自虐が悲しい、Kis-My-Ft2の「舞祭組」に与えられたステージ

2013/11/13 15:00
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なんでだろ、目から汗が出てきちゃった……

 今回ツッコませていただくのは、11月11日にスタートしたSMAP・中居正広とリリー・フランキー司会の音楽番組『Sound Room』(TBS系)。

 番組のトップバッターとして、Kis-My-Ft2のメンバー・横尾渉、宮田俊哉、二階堂高嗣、千賀健永の4人が登場した。中居のプロデュースにより結成した新ユニット「舞祭組(ブサイク)」として、シングル「棚からぼたもち」の初お披露目ということだったが……。

 この企画モノのユニットが発表された時点で、少し嫌な予感はしていた。中居の手法が、「羞恥心」などを手掛けていた、かつての島田紳助さんそっくりだからだ。リリー・フランキーの「今の日本でこれだけの祭り感がある曲は」云々というセリフも、島田紳助さんっぽい。そう思うと、『キスマイBUSAIKU!?』(フジテレビ系)の構成作家・鈴木おさむのやり口こそが島田さん的なのかもしれないが。

 ただし、明らかに違うのは、中居がキスマイと同じ「ジャニーズ事務所」の先輩だということ。会社あるいはチーフマネジャーの意向はあるだろうとしても、多数の番組にキスマイをバーターとして出演させまくるほど、愛に溢れているはずだ。さらに、キスマイの格差、特に「後ろの4人」のことを気にかけ、4人に「どう思ってるの?」「後ろの4人は、いつ白い衣装着られるの?」などと、度々聞いていたこともある。

 「ジャニーズなのに自虐なんてかわいそう」という声もあるが、そこに愛があり、本人たちがうれしいのだとしたら、良いことだろうと思っていた。でも、お披露目された楽曲を聞いて、見て、なんだか悲しい気持ちになった。そこに「ジャニーズ愛」は感じられなかったからだ。

 まず「後ろの4人は、いつ白い衣装を着られるの?」と聞いていたのだから、ちゃんとドルドルしいキラキラ衣装を着せてあげるべきだったと思う。なのに、実際の衣装はスーツだ。これは忘年会などでサラリーマンが歌うことを狙った下心だろう。ビジネス人・島田さんっぽい。また、歌詞には、「前の3人」のニックネーム「キタキタ」「ガヤガヤ」「タマタマタマ」などのフレーズが頻出する。格差をより強調する内容にするなんて、どういう意図なのだろうか。


 どうせだったら、4人にあえてブリブリ&キラキラの王道衣装を着てもらい、かつての光GENJIみたいなおバカっぽいキラキラの王道アイドルソングをキラキラに可愛く歌ってもらうべきだったんじゃないだろうか。これが仮に当たったとしても、キスマイの「底上げ」につながる気はしない。また、4人にとっても、一時的な注目は浴びても、ほとんど「使い捨て」状態で、結果的にアイドル生命を縮めていることにならないだろうか。

 「自虐」が悪いとは言わない。でも、悲しいのは、そこにジャニーズ愛を感じないことと、どこかで見たことがあるような二番煎じ感に溢れた新鮮味のないものだからだ。

 余談だが、一般にはまるで知られていないが、メンバーの1人・千賀などは、ジャニーズファンの間では「生で見て衝撃を受けた(美しかった)ジャニーズ」などの話題で度々名前が挙がる人物でもある。だからこそ、ほかの売り方もあったろうに。「後ろのメンバー」が脚光を浴びること自体は非常に良いことだと思うが、それがバラエティ番組の構成作家などがいかにも考えそうな「使い捨て」で終わらないことを願う。
(田幸和歌子)

最終更新:2013/11/28 20:59
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