[女性誌速攻レビュー]「CLASSY.」11月号

攻撃的なファッションで僕を傷つけないで……「CLASSY.」のコンサバを支える繊細男子

2013/10/10 16:00

 さらに「休日イベントでの出会い」「合コンでの出会い」と続きます。「ニット帽がツボ」(35歳・メーカー)、「個性が強すぎないシンプル服だと性格良さそうな気がします」(35歳・会社経営)など、そんないまどき男子高校生でも言わないようなベタなことをアンタ35にもなって……など男性諸氏の繰り出すお気楽なご意見にいちいちツッコんでも虚しいばかりですが、改めて「CLASSY.」が悩む“ダサイ、古くさい、ザOL”ファッションは求められていると実感します。目立たないこと、攻撃的でないこと、女子すぎないこと。これは先日話題になったロンブー田村淳の妻カナさんにも通じるところがあるのかもしれません。女性側に少しでも主張があると「引いてしまう」繊細な僕たちが、安心して女性を値踏みするためには「記憶に残らない服」である必要があるんです。

■21世紀でも“昼は淑女、夜は娼婦”

 「CLASSY.」においては、大事なことはスタイリストよりメークアップアーティストより「男子」に聞くべし。先ほどの「記憶に残らない服」と対になるであろうこちら「メークだけは媚びた方がいいって本当!?」もまたタイトルだけで胃もたれする企画です。「媚びない」ことがカッコいい女の条件としてもてはやされる昨今、堂々と「媚びた方がいい」と言っちゃう正直者の「CLASSY.」。そしてますます増長していく男子たち! 止まらない、暴走列車!

 中身はと言いますと、攻撃的な女性にプライドを(勝手に)傷つけられたと感じる男たちに向けた、リハビリのような内容。「服はカジュアル」(派手な色使いにも抵抗がある人が多いようなので、ベージュやデニムなど落ち着いた色でまとめるのが無難)、「ヘアはナチュラル」(しっかりした巻き髪も引いてしまう男性が多数。かといってボーイッシュなショートやシャープすぎるストレートも不人気)、で、「メークだけは媚びてもいい!」(うるんだ瞳、甘えたような頬など、しっかり作り込んだメークで元からかわいい子と思わせるのが女子力の見せどころ)だそうです。

 「困り眉」「儚げタレ目」「うるうる涙袋」「フェロモンツヤリップ」「湯上がりチーク」とまあネーミングセンスも秀逸。そんなこんなで出来上がったお顔というのが、これまたどこかで見たことあると思ったらロンブー淳の妻カナさんでした。あの人の男に好かれるプロ技は本物だったのですね……。


 編集部のワルノリはさらに続き、夜は「翻弄されそうな小悪魔キャッツアイ」「まるでマリリン・モンローな誘惑つけボクロ」で「やりすぎないセクシーさを意識して」と言っちゃってます。しかし困り眉に跳ね上げアイラインに口元のほくろで完成されるのは、どこからどう見ても昭和のお色気女優・中村晃子……。ああ21世紀も10年以上たち、ルンバが勝手に部屋を掃除し、キムタクがアンドロイドになるこの高度文明の時代に、まさか“昼は淑女、夜は娼婦”という言説を見せつけられるとは!!

 毎号毎号男性諸氏の細かな意見をくみ上げて、理想のモテ女づくりに余念がない「CLASSY.」。今号は特にぶっ飛んだ内容でした。男性の草食化などと言われて久しいですが、「CLASSY.」からあぶり出されるのは、草食というよりは軽食、なんだかんだ言っても喫茶店のナポリタンが好きな俺、ですよ。余計なことしないで、変に主張しないで、タバスコも粉チーズも俺次第だから。結婚熱に浮かされた「CLASSY.」女子たちが“心頭滅却すれば火もまた涼し”と念じながらナポリタンに同化しているかと思うと、やはり暴走列車は誰も止められないと思い知るのでした。
(西澤千央)

最終更新:2013/10/10 16:00
CLASSY. (クラッシィ) 2013年 11月号 [雑誌]
得てして、繊細男子の服もイモ臭いんだよね~