“貝殻ビキニ”武田久美子姐さんの本で、43歳ゲイのBODY&SOULに喝!
ところがこの本、景気がいいのは最初だけ。サブタイトルに「美ホルモンをアップして更年期を迎え撃つ」とあるように、「対・更年期障害」がメインとなる。 なんとなく全体的に「まだ本格的には訪れてはいない更年期に怯えている」というムードが漂っている。この本に正確なタイトルを付けるのならば、「43才、ちょっと生理不順な時があるけど……どうなろうとも私は武田久美子という美しい存在であり続けるからね!?」という感じだ。強気な笑顔の裏で、こんな悩みを感じているのか……と思うのは、なんだか「悪役レスラーが実はいい人」のような「鬼親父の涙」のような感慨を与えてくれる。久美子姐さんも、普通の人間なんだ……。象とか言ってゴメンね……
劣化に怯えたり、女友達の重要性を説いたりと、ほんのり同胞意識を持ってしまったが、本文中でもガンガン登場する超ドヤ写真の数々が、そんな同情を蹴散らしてゆく。パオーンと。「わかりやすいセクシーは、もうおなかいっぱい」と言った次のページで、超ドヤなビキニ写真を披露したり、意外と淡白な性生活を語りつつも、さらりとダンナが巨根なことを誇示したりと、簡単に隣りには座らせてくれない久美子姐さん。だが、それがいい。なんせあの「貝殻ビキニ」の久美子姐さんだ。我々の手の届かない……というか、真似するにはハードル高すぎな世界を突き進んでいってほしい。
タレント本らしく、スラスラと読める本だが、私の「武田久美子には、こうあってほしい」という欲は満たされた。心が膨満感を感じるくらい。そんな本の中で特に心に残ったのは、久美子姐さんが10代20代の頃、マリリン・モンローやシャロン・ストーンをお手本にし、40代になった今は、キム・ベイシンガーやニコール・キッドマンに憧れているということだった。目指していたのは外人だったのか……なんかすごく納得のいく話だった。元々ハーフ顔のアイドルだったけれど、日本じゃ狭すぎるような、和室で見るには圧迫感ありすぎなセクシーさは、「海外美人指向」だったからなのか。あれ、もしやこれが「久美子姐さんの美の秘訣」なのではなくて?
ふいに、私の姪っ子のことを思い出した。今やスラリとした女に成長した彼女だが、思春期はバスケに青春を捧ぐスポーツ少女で、いつもパンパンな体型を気にしていた。叔父の目から見れば、「健康的で可愛いよ☆」だったのだが、そんな言葉、少女には無価値だよね。今から10年以上前の話だろうか、空前の 「モー娘。ブーム」の頃、姪っ子はゴマキこと後藤真希ちゃんを崇拝していた。彼女の部屋の壁はゴマキの写真で埋め尽くされていた。そんなある時、実家に家族が集って談笑していたら、ふと見せた姪っ子の笑顔がゴマキに似ていたのだ。「アンタ、今、笑顔がゴマキにソックリだったよ☆」と私が言うと、姪っ子は照れつつも最高にうれしそうだった。彼女は激しい憧れをエネルギーに、ゴマキへと同化していったのだ。