【海外メディアの裏事情:第4回タブロイド】

仰天の大スクープから「オバマが宇宙人と極秘会談」まで! 玉石混交の米タブロイド紙

2013/09/07 14:30

 セレブの私生活がいかに荒れていて悲惨なのかを「消息筋」の情報をもとに執筆した記事が多く、信ぴょう性は低いとされている。11年に「ケイティはヤク中!」という文字を表紙に載せ、激怒したケイティ・ホームズから名誉毀損で訴えられたこともある。しかし、大手新聞「ニューヨーク・タイムズ」が、「『スター』などのタブロイドが、セレブから実際に起訴されるのはまれなこと。タブロイドはサソリのような存在で、訴えられると全力で反撃を仕掛けるため、裁判が長引きセレブは金も体力も使い、精神的に打ちのめされてしまう。タブロイドの弁護士はやり手で、原告が勝てる見込みも少ない。そのため起訴されないのだ」と報じているように、相手にしないセレブが多いため、破局、交際、妊娠に関するガセネタを堂々と記事にし続けている。

 表紙に書かれていることの90%以上がガセという調査結果が出るほど信用がないが、読者が読みたがる記事が多いため、アメリカ人がそれぞれのセレブに対して持っているイメージがわかり、そういう点では興味深い。

 メディア王、ルパート・マードックが1974年に「ナショナル・エンクワイアラー」に対抗するタブロイド紙として創刊。90年には「ナショナル・エンクワイアラー」を出版するアメリカン・メディア社が買収し、04年ごろから現在のマガジンスタイルに落ち着いた。芸能誌の印象も受けるが、あくまでタブロイドという位置付けになっている。

■「ウィークリー・ワールド・ニュース」

 「UMA・UFOを目撃!」「実録!私はエイリアンに連れ去られた」など、眉唾な話を真剣に記事にすることで人気を博したタブロイド。多くのタブロイドがカラーになっても白黒を突き通し、超自然現象や超常現象にこだわり続け、まるで信者のような熱狂的なファンを多く持っていた。


 ビッグフットやエイリアンもよく取り上げられるが、同紙がスクープしたという半分コウモリ、半分人間という「バット・ボーイ」も有名だ。彼は、サダム・フセインの隠れ家を米軍に知らせたかと思えば、サンタクロースにかみついたり、ヒラリー・クリントンと不倫関係に陥ったという、とんでもない“スーパーヒーロー”。ほかにも、「世界一太った」シリーズが人気で、世界一太ったネコがダイエットをした結果拒食症になったという記事や、ジムに通う世界一太ったカップルや世界一太った赤ん坊などの記事を掲載し、読者を夢中にさせた。

 07年、売り上げが低迷したため、多くのファンに惜しまれつつも廃刊。06年に始めたウェブサイト版は今も続いており、最近は、「火星に恐竜を発見!」「独立記念日の7月4日、エイリアンが地球を攻撃する予定だったが、オバマ大統領が極秘で交渉し、見事回避!」などという記事を掲載している。コメント欄は、「素晴らしい記事をありがとう!」「死ぬまでついて行きます」といった信者の言葉で埋め尽くされている。また、有料で月2回最新ネタの配信も行っている。

最終更新:2013/09/07 14:30
『ムー』
あれ? 日本にも似たような……