仰天の大スクープから「オバマが宇宙人と極秘会談」まで! 玉石混交の米タブロイド紙
アメリカのタブロイド紙は、大きく2つのタイプに分けられる。スーパーのレジのそばに置かれている、主婦層が好みそうなゴシップ満載の「スーパーマーケット・タブロイド」と、新聞紙と同じセクションに置かれている、センセーショナルな見出しで大衆の興味をそそる「夕刊紙タイプのタブロイド」だ。
2年前、イギリスの大手タブロイド紙「ニューズ・オブ・ザ・ワールド」が、スクープを得るために盗聴していたことが発覚。大問題となり、廃刊に追い込まれた。アメリカのタブロイド紙は、パパラッチの情報や消息筋からのタレコミに頼る傾向が強く、イギリスほど積極的な取材はしない。ガセネタも多いが、たまにイギリスのタブロイドに負けないほどあっと驚くようなスクープもあるため目が離せない。今回は、アメリカを代表するタブロイド紙を5つ、ご紹介しよう。
■「ナショナル・エンクワイアラー」
アメリカ人なら知らぬ人はいないといわれるほどの老舗タブロイド。A4より少し大きめ、新聞のようなペラペラの紙を使っており、ページ数は芸能雑誌に比べてかなり少ないが内容は濃く、根強い人気を誇っている。
情報提供者には謝礼を支払うことでも有名だが、大手メディアはこのことに眉をひそめる。というのも、故ファラ・フォーセットの医療記録を提供した病院スタッフが有罪判決を受けた前例があるためだ。しかし、1997年に国民的コメディアン、ビル・コスビーの息子が射殺された事件では、犯人につながる有力情報を提供した者に1,000万円を支払うと呼びかけ、犯人逮捕に貢献したこともあり、プラスに働くことも多い。ガセも少なくないが、メル・ギブソンやビリー・ジョエルが離婚寸前だというスクープや、タイガー・ウッズの不倫、「マイケル・ジャクソンはひどく病んでおり、余命半年」という記事も当て、世間を驚かせた。
同紙は、大手メディアやほかの雑誌社が手を出さないような写真を買い取ることでも有名。昨年はホイットニー・ヒューストンの通夜で撮影された遺体写真を表紙に掲載し、大きな波紋を呼んだ。
セレブのスキャンダルばかり扱っているような印象を受けるが、政治家や実業家らのスキャンダルネタにも強い。共和党副大統領候補になったことがある政治家ジョン・エドワーズの不倫・隠し子をスクープし、「家族を大事にする理想の父親」というイメージを崩したことが評価され、2010年にピューリツァー賞にノミネートされた。その際、一部のジャーナリストは「ポルノがアカデミー賞候補として認められるようなものだ」と猛反発したが、世間からは「ジャーナリズムとして立派に機能している」と認める声が多く上がった。