"噂の女"神林広恵の女性週刊誌ぶった斬り!【第185回】

布川敏和、やる気満々で仕込んだ一家総出の “浮気・離婚ネタ”商法の悲しさ

2013/08/07 21:00
seven130807_01.jpg
「女性セブン」8月15日号(小学館)

下世話、醜聞、スキャンダル――。長く女性の“欲望”に応えてきた女性週刊誌を、伝説のスキャンダル雑誌「噂の真相」の元デスク神林広恵が、ぶった斬る!

第185回(8/1~6発売号より)

 未婚の母となった安藤美姫が会見を開き、夜中の電話など失礼で過剰な取材は辞めてほしいと訴えた。おっしゃる通り。確かに父親が誰かなど、個人的なことだといわれればまったくその通りだし、日常生活に支障が出る取材攻勢には問題があるだろう。でも今回の安藤の会見を見ると少々疑問が。この会見は“ニュース関係”向けのもので、情報番組では使えないという差別的なものであるらしい。でも過剰取材をするのは、彼女のいうゴシップ・メディアであるワイドショーなどの情報番組だ。メディアにとって安藤はスターであり、そのプライバシーもゴシップ・メディアにとっては「知る権利」のひとつとなる。残念だがメディアの反感を買い、火に油を注ぐような下手くそな会見であった。

1位「布川敏和へ! つちやかおりが『離婚したければどうぞ。もう愛はない』」(「女性セブン」8月15日号)
2位「飛鳥涼 『息子は剣道七段私が育てた剣士。ウチに来た長渕剛とは違う!!』」(「女性自身」8月20・27合併号)
3位「土屋アンナ 母も原作者も激怒! 舞台裏の泥仕合」(「女性セブン」8月15日号)
同「土屋アンナ舞台キャンセルが法廷闘争に――“倍返し”するのはいったいどっち?」(「週刊女性」8月20・27合併号)

 元シブがき隊の布川敏和が「セブン」誌上で糟糠の妻に三下り半を突きつけられている。布川の妻とは、タレントのつちやかおり(48)。といっても少々説明が必要だろう。今から34年前、『3年B組金八先生』(TBS系)に出演し、その後も歌手・タレント活動をしていたアイドルで、1991年に高校時代からの恋人・布川と結婚、芸能界を引退した。布川との間に1男2女がいる。21年連れ添った妻が布川に愛想をつかし、夫を告発した!?


 その内容はいかにも女性週刊誌らしいものだ。結婚前から布川の女遊びに泣かされたつちやだったが、それは結婚後も治らず夫はやりたい放題。浮気相手との鉢合わせもあったらしい。最近でも今年6月に布川は交通事故に巻き込まれたが、この時も2人の女性と一緒だった。だがつちやによると、ある時から女性関係については「面倒くさくなり、詮索もしなくなった」という。浮気を怒るのは相手に気持ちがあるからで、今ではそんな気持ちは「もういいや」で、交通事故の際の女性についても「気にならなかったから、何も聞いていない」らしい。さらに「浮気くらいで離婚するのもバカらしい」が「本気になった相手がいて離婚したいなんて言ったら、逆に『どうぞ、どうぞ』」だそうだ。

 多くの主婦から共感されるようなぶっちゃけエピソードとあきらめの境地である。すでにお互いを男女としては見られない倦怠期夫婦。夫は浮気を繰り返すが、しかし子どもや経済的なことを考えれば離婚は損だ。夫を“家族”と思えば争いごともないから現状維持。まさに枯れた夫妻っぷりを赤裸々に告白するつちや。

 だが――。この「セブン」が発売されるや、つちやは意外な行動に出たのだ。自身のブログで、「記事は本意でない」「あの見出しは残念」などと不仲説を否定したのだ。夫の布川も連名で。「セブン」痛恨のフライングか! いや、いや違うでしょ。通常こうした告白モノは本人や事務所に発言部分をチエックさせる。しかもつちやの所属事務所は布川が社長を務める個人事務所で、妻のつちやは専務なのだ。「本意でなくショックを受けた」というのは不自然極まりないし、後だしジャンケンのようであざとい。

 思えば布川の浮気癖などいまさら感でおなか一杯だ。布川自身もそれを隠していないし、2人の長男でありタレント・俳優活動を始めた布川隼汰に至ってはバラエティなどで何度もネタにしているほど。というか二世タレントである長男がバラエティに出演させて貰える理由も父親の浮気ネタに尽きる。それしかウリがないから。さらに妻・つちやも昨年4月、20年ぶりに芸能界復帰を発表しているが、その後の活動は鳴かず飛ばず。そして一家の大黒柱である布川も売れっ子とは言い難い。元シブがき隊の本木雅弘や薬丸裕英の活躍に比べれば、かなり劣っている。芸能界の格において大きく差を広がられたと言っていい。そんな崖っぷち家族の離婚危機ストーリー。とんだ芸能夫婦の珍商法である。いや夫婦だけではなく息子までも巻き込んだ、一家総出の“浮気・離婚ネタ”商法。川崎麻世・カイヤ夫妻も真っ青である。

 彼らはどれだけ必死なのか、ブログだけでは飽き足らず、わざわざマスコミ各社にブログと同様の記事否定のファックスをわざわざ流すという用意周到ぶりを見せた。さらに言えば、布川の個人事務所は妻・つちやだけでなく長男と長女も全員所属しているのだ。まさに一家総出で話題になるなら何でもウリ、やります! そのやる気満々ぶりと根性だけは伝わってきた。それにしてもあまりに悲しく、新しい下流芸能一家のプライバシー切り売り手法の出現である(とはいえ実際、つちやの語った夫への気持ちは、ある意味本心だと思うが)。


『家族関係を考える』