"噂の女"神林広恵の女性週刊誌ぶった斬り!【第184回】

土下座&100万円要求! 姉妹の恩讐と確執が絡み合う、仁科克基の後継者騒動

2013/07/31 21:00
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「週刊女性」8月13日号(主婦と生活社)

下世話、醜聞、スキャンダル――。長く女性の“欲望”に応えてきた女性週刊誌を、伝説のスキャンダル雑誌「噂の真相」の元デスク神林広恵が、ぶった斬る!

第184回(7/25~31発売号より)

 土屋アンナの舞台が突然中止になったことで騒動が勃発している。主催者側はアンナが無断で稽古に参加しなかったためと損害賠償を請求、一方のアンナ側はこれを全否定したのだ。アンナ側は原作者が著作権使用を承諾していないと原作者から聞いたため、主催者に配慮するよう求めていたと主張。原作者もアンナ側と同じく、舞台許可を出していないと訴えた。真っ向勝負、久々に面白い事件である。さらに興味深いのが、主催者側の代理人弁護士が伊藤芳朗だということだ。かつてオウム事件でテレビに出まくったが、2004年にテレビ局の依頼でタレントなどの戸籍謄本等を不正取得したとして弁護士会から懲戒処分を受けていた“元有名お騒がせ弁護士”だ。今後の展開が楽しみである。

1位「長女岩井が次女仁科へ突きつけた『入門金100万円』と『詫び土下座』」(「週刊女性」8月13日号)
2位「仮面ライダーストロトンガー荒木しげるさん 死の3日前、“危篤”病室で前妻が『暴行』『再婚届出強行』!」(「女性自身」8月13日号)
3位「高嶋政伸 『キモすぎ』医師が誓っていた『断酒→10キロ減量→次の嫁ゲット』(「女性自身」8月13日号)

 今週の女性週刊誌は渋いトピックスがてんこ盛りだ。三國連太郎、宮崎駿、ユーミン、八つ墓村。そんな中でも一際渋さを放っているのが、1位の仁科亜季子ネタと、仮面ライダー・荒木しげるネタである。


 まずは仁科亜季子。仁科といえば息子の離婚問題か、はたまたご自身の離婚問題かと思いきや今回は全然違う。下世話な話題にばかり気を取られて世間は忘れていたが(もちろん筆者も)、仁科は結構な名家の出身であり、そのお家騒動が勃発したというのだ。

 仁科の父は歌舞伎俳優で日本舞踊「岩井流」の家元・岩井半四郎だ。仁科は次女で、長女が岩井友見。かつての芸能界では美人姉妹と称されていたらしい。しかも長女は事故で片目を失明したこともあり、芸事にも長けていた次女である仁科が後継者とも目されていた時期もあった。しかし、仁科は松方弘樹との略奪婚などで、結局家元には長女が就任した。姉妹は確執もあり疎遠に。さらに11年に父・半四郎が逝去し、岩井流自体が危機的状況に陥り、家元である長女の使い込みもうわさに――。

 そこで再登場したのが次女・亜季子である。金銭的にも求心力的にも問題を抱える家元だが、さらに問題なのは長女夫妻には子ども=後継者がいないこと。だが次女・仁科には克基という長男が存在した。多岐川華子との離婚問題で大いに男を下げた、芸能界では大成しそうもない克基だが、血縁が大きな要因となる世界では話は別だ。克基は祖父の指導のもと高校までは稽古を積み、血統的にも正当な後継者である。仁科がそこに目をつけない訳はない。今年になって克基を家元にすべく、舞踊を再開させようとした。だが、現家元である長女はその条件として100万円以上の入門金と亜季子、克基に土下座を要求した。以上が記事の概要である。渋い、そして痺れるお家騒動だ。岩井流など記事を読むまで知らなかったけど。

 ここ数年、歌舞伎界ではさまざまな“事件”が話題になっている。海老蔵の暴行事件や隠し子問題、香川照之の歌舞伎界進出事件、市川染五郎や片岡愛之助にも隠し子がいるし、兄弟の確執なども書ききれないほど多数あり、まさにドロドロ。そしてそれら背景の多くに複雑な“血脈”が存在する。今回も歌舞伎界に端を発する“正統な血”をめぐっての後継者問題である。日本人は血脈が大好きだ。歌舞伎界だけではなく、皇室や政界、実業界など多くの場面で世襲が盛んだ。文化の継承や伝統を重んじる血脈主義といった側面の一方、政界、実業界などは一種の親バカと、それに群がる親族や利権集団が長年にわたって構築したものだと思う。今回の岩井流お家騒動も、その利権と血縁ならではの長年の恩讐の産物だ。さらにはカリスマの父からの愛情を競う姉妹の物語でもある。

 だが、今回の一件で注目すべき最大の悲劇は、その正統な後継者の血を受け継いでいるのが克基だという事実である。記事中になる家計図を見ると、確かにすごい血脈を継いでいる男だ。母方に加え、父方にしても実父は松方弘樹、祖父は時代劇俳優の近衛十四郎で叔父は俳優の目黒祐樹。そんなすごい人たちの血を受け継いでいるのに――。悲しい。その結晶が克基だということが。世襲や血脈を重んじると、いつかはこんなバカボン子孫が現れる。いいのかそれで? いや、仕方ない、あきらめるしかない。そんな典型例だ。いや、仁科にはもう1人子どもがいる。でもタレントの仁科仁美だからな。お兄ちゃんと同じくらいおバカだからな。ご愁傷様です。


『身につまされる江戸のお家騒動』