"噂の女"神林広恵の女性週刊誌ぶった斬り!【第166回】

香川照之一族の恐怖物語が再び! 父・猿翁を追い詰める復讐の看病

2013/03/05 21:00
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「女性セブン」3月14日号(小学館)

下世話、醜聞、スキャンダル――。長く女性の“欲望”に応えてきた女性週刊誌を、伝説のスキャンダル雑誌「噂の真相」の元デスク神林広恵が、ぶった斬る!

第166回(3/1~5発売号より)

 野田聖子衆議院議員の「中絶禁止」発言が波紋を呼んでいる。なんでも「少子化対策のため」中絶を禁止し、養子縁組法案を作りたいのだとか。なんだか短絡的というか、考えなしというか。体罰問題の谷亮子参議院議員といい、女性に対する想像力が決定的に欠けているのが“女性”政治家なのかも。

1位「香川照之 父・猿翁『肺炎極秘入院』で孤立無援ピンチ」(「女性セブン」3月14日号)
同1位「香川照之 『舞台が怖い…』父猿翁を追い詰めた“屈折”親子愛」(「週刊女性」3月19日号)
ランク外「香川照之 相克の父病床で訴えた“悲壮の覚悟”――『もう一度、家族で舞台に!』」(「女性自身」3月19日号)
2位「西山茉希 ああ、またも!“DV恋人”早乙女太一と連日デートで笑顔復活♪」(「女性自身」3月19日号)
3位「内野聖陽 『とんびらしくねぇ』打ち上げ独占撮!」(「週刊女性」3月19日号)

 久々に“香川照之一族”恐怖物語が復活! 女性週刊誌3誌とも、香川ネタを掲載した。揃い踏みである。全誌とも香川の父である市川猿翁の入院についての記事だが、しかしそれぞれに温度差があるので比較分析してみたい。

 まずは最も常識的でまっとうな論調だったのが「セブン」だ。訃報が相次ぐ歌舞伎界にあって猿翁までが1月下旬に極秘入院していた。病名は肺炎などによる体調不良だが、その原因は元旦からの大阪松竹座での公演にあったという。この公演は香川と猿翁による初めての親子共演として話題になったものだが、体調不良のため猿翁はほとんど休演という事態に。しかし、千秋楽まで大阪に留まり、孫の團子と共にカーテンコールを行った。しかし無理が祟ってか、帰京後すぐに入院となったという。

 そして「セブン」は猿翁入院の事態で、関係者から香川に対する不満が高まっていると記す。猿翁はこれまでも体調が悪く、表舞台に立つのは無理だった。しかし親子の絆を演出したい香川が無理をさせた。病は香川のせいだ、というトーン。至極まっとうであるし、納得である。しかも公演と同時にNHKの300日親子密着番組も放映された。ここでは猿翁のリハビリ姿も映し出されたが、そんな猿翁の姿を晒させた香川に、梨園関係者の不信感は高まるばかりだという。要するに「セブン」は猿翁を追いつめ、無理をさせた香川を批判しているのである。至極まっとうだ。


 さらに驚くべき記述が「セブン」にあった。猿翁は肺炎だけでなくうつ傾向がある。しかし見舞いに来た香川は<お父さん、頑張って!>と励ますのだという。これは大問題である。今ではうつ病の人に「頑張れ」というのが禁句だというのは常識でさえあるが、それを東大卒のインテリ香川が知らないはずはない。やはりかつて父親に捨てられた香川の「怨唆」「復讐」が浮かぶ恐怖物語なのだ。

 「週女」もおおよその内容は「セブン」と同じだ。しかしそのトーンは「セブン」に比べ微妙に優しく、ちょっと素直だ。香川は、<お父様のことが心配>で見舞いに来るのだが、猿翁はかつて<愛されすぎて怖い>と香川の愛情が重荷になって精神的に追いつめられたこともあったと、香川を諭す。だが、次第に香川に対しちょっとだけ辛らつな論調になる。(猿翁が)また舞台に立つことになれば、最悪のこともあり得るため、安静にしていることが望まれる。だが、状況はそれを許さない。なぜなら、香川とその息子が正当な跡継ぎであることをアピールするため、また父との失われた時間を取り戻すため、<香川が一生懸命に猿翁を舞台に出そうとするから>だという。普通に考えれば、舞台に上げれば<失われた時間>を取り戻すどころか縮めてしまいそうだが、香川はそうは思わないらしい。そして「週女」はあくまで香川に配慮を見せた。善意の息子のようには描いてはいるが、その“行間”で「恐怖物語」を匂わせた。

 しかし「自身」にかかると、同じ事象は“別の真実”にたどり着く。現在、猿翁の心の支えは香川と孫の團子だというのだ。これまでの人生で身近に子どもがいなかった猿翁は、香川と和解したことで子どもと遊ぶ楽しさを初めて覚えた。また3月の御園座公演初日だけを休演発表した猿翁だが(初日に続き5日も休演)、復帰に含みを持たせているのは、香川と孫、そして歌舞伎界にとって大事なことで、病床でも「もう一度、家族で舞台に!」という思いを強く持っているというのだ。その絆の証拠に香川が入院中の猿翁を2時間も見舞ったと記す。

 見事に美しき「親子3代愛」を綴った「自身」である(羊頭狗肉ともいうが)。物事とは見方や立場を変えれば別の物語になる。「セブン」「週女」では香川の存在が猿翁の体調不良を悪化させ、「自身」は逆に励みとなる。「家族愛」か「恐怖物語」か。読み比べてみても、軍配は「恐怖物語」であった。

 記事のタイトル通り「ああ、またも!」である。あまりに壮絶な暴力を彼女に振るい、その一部始終を報道され、異例の会見を開き「もう2度としない」と神妙に反省し、それでも喧嘩が絶えず、彼女に執着し、「自分も親から殴られて育った」と同情を引き、てんやわんやの末、やっと破局したとホッとしていたのに。


 もちろん早乙女太一と西山茉希の元カップルだ。破局宣言からたった1カ月。このDVカップルの復縁をスクープしたのは「自身」である。思えば早乙女の衝撃のDV模様をスクープしたのも同誌だった。おそらく「自身」も“予感”があったのだろう。DVカップルが別れるのは本当に難しいと。だから、その後もきちんとフォローしていたのかも。偉い。

 そして案の定、「自身」が目撃したのが2人の復縁マンションデートと映画デートだった。西山が早乙女の少し後ろについて六本木ヒルズの映画館に入っていき、再び映画館から出てきた2人は笑顔だったという。その後どうやら2人は西山のマンションで一夜を過ごしたらしい。西山の事務所は「復縁はない」とコメントしたが、「自身」に記された2人の様子は、恋人そのものである。2人は笑顔だった。でも――。

 これは束の間の嵐の静けさだろう。暴力後の一瞬の安定期に過ぎない。DVは繰り返す。しかも早乙女の暴力は尋常ではない。暴力を振るい、その後は泣いて反省し、優しくして、再び暴力。「お前しかいない」「もう暴力は振るわない」と約束する。お決まりのパターンだ。直すのは非常に困難らしい。まさに負のスパイラルにはまり込んでしまった西山。事務所や周囲の大人も放置していないで、専門家に相談するなりの手立てを打ってほしい。しゃれにならない事態になる前に。

 内野聖陽。いい役者だがここ数年はネガティブな報道が多かった。一路真輝と結婚し一児をもうけるも、家庭を顧みないで別居。その後も、不倫に飲酒運転疑惑。また家業を継がなかった内野と実母は絶縁状態で、「俳優としての成功は喜んでいない」と発言するなどプライベートに恵まれていたとは決してい言えなかった。

 しかし、最近になって実母と和解し、長女との交流も復活したらしい(「セブン」3月7日号より)。俳優としても絶好調だ。そんな内野が主演し、高視聴率を上げたドラマ『とんび』(TBS系)の打ち上げが行われた。しかし、見出しにある「とんびらしくねぇ」って何? 

 読んでみてちょっと笑えた。『とんび』の打ち上げ模様を記した記事だったが、会場はTBSの打ち上げでよく使われるお洒落な場。青と白が基調の内装で結婚式にも使われる派手なところだったという。そこで内野がスタッフにひと言。「とんびらしくねぇ会場だなぁ!」とまるで『とんび』の父親のように話したという。それだけの記事ではある。が、何だかちょっぴりイイ話を聞いた気になった。飲酒スキャンダルの際、ビールを飲んでいた一軒は街のフツーの中華屋だった。ついでに思い出した。

最終更新:2013/03/05 21:00
『本当にあった悲惨な生いたち 20』
香川照之、ひとりレディコミ劇場