カルチャー
[女性誌速攻レビュー]「LEE」7月号

“普通”の人を“普通の幸せ”で縛りつける……女性誌王道の役割を担う「LEE」

2013/06/22 17:00
「LEE」2013年7月号(集英社)

 突然ですが、みなさんは「LEE」(集英社)の読者をどのようなタイプだと思いますか? 例えば、「リンネル」(宝島社)読者はシロツメクサの輪っか被ってそよ風感じながらも目は虚ろとか、「美ST」(光文社)読者は若づくり欲求不満婆とか、「婦人公論」(中央公論新社)読者はナスやサツマイモを見て妄想しハアハアする女とか、良くも悪くもイメージが確立されています。

 そう考えると、「LEE」読者は「とりあえずボーダーを着てそう」以外は、“丁寧な暮らしをしている”という抽象的なイメージしか浮かび上がってきません。そう、「LEE」は無難・無難に生きている“普通”の人のための雑誌なんです。しかし、普通であることというのは、意外としんどい。普通を望む読者に、普通を押し付ける「LEE」。それが今月号の特集に如実に出ていたのです。

<トピック>
◎「今までの服が似合わなくなった」と感じたら、“ちょい足し”が利く!
◎私たちが目指すべき「年相応」のおしゃれとは?
◎夫たちはなぜ壇蜜が好き?

■校則のような禁止事項

 今月号の特集は「『今までの服が似合わなくなった』と感じたら、“ちょい足し”が利く!」です。リードには「編集部員のもとに日々届く『大好きだった服が似合わない!?』『年齢に合う着こなしがわからない……』という悩める声。今までのおしゃれがしっくりこないという事態の多くは、肌質や体型が変化するといわれる30歳過ぎと、38歳過ぎに起きています。解決の糸口は、実は年齢ごとにありました」という、通販番組さながらの“導入はちょっとした不幸から”方式を採用してきました! その読者のお悩みを解決すべく「LEE」が提案するのは、「30歳超えたらフェミニン投入」「38歳はクール盛りが特効薬」という2本柱です。

 なぜフェミニンかなぜクールかといったら、相反する形容詞を入れておけば、大体のファッションアイテムを違和感なく紹介できるからという大人の事情があるので、そこはスルーしましょう。むしろ、いやらしいなと感じるのは、「LEE」が「出過ぎた釘になるな」と繰り返し繰り返し刷り込んでくる部分です。

 まずは30歳・38歳のぞれぞれの年齢読者が座談会を開いているのですが、そのタイトルは「私たちが目指すべき『年相応』のおしゃれとは?」という女子校の生徒会が校則修正案でも議論しているかのようなネーミング。30歳読者が「それ(今までのTシャツ・パーカー・デニムなどのアイテム)だけでは子供っぽくて野暮ったく見えてしまうんですよね」「私も持っている洋服が似合わなくなってきて、今リアルに悩んでます。どういうものが年相応なのか、本当にわからなくて」と相談。筆者なら“長年、同じようなものを着ていれば飽きるし、野暮ったく思えてくるのでは?”と答えてしまいそうですが、「LEE」を代表してアドバイザーという形で入りこんでいるスタイリストが「全身カジュアルなスタイルは、30歳を超えたらもうNGですね」とばっさり。一方、38歳読者座談会には「38歳を過ぎたら『若づくり』厳禁。大人のカッコよさを心がけて」という標語のようなキャッチフレーズが付いていて、対談も「○歳ならこうしないと!」「若づくりはダメ!」「やりすぎは禁物!」と禁止事項多すぎ、型にハメすぎ! 今日び、高校生の修学旅行の方が自由度があるってもんですよ。

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