サイゾーウーマンカルチャー女性誌レビュー30代ファッションの正解って? カルチャー [女性誌速攻レビュー]「LEE」5月号 悪目立ち回避、いい女気取り、無難からの脱却! 30代ファッションは難しい 2012/04/16 16:00 女性誌速攻レビューLEE 「LEE」5月号(集英社) 今月の「LEE」、本当にビックリするぐらいに広告が入っています。一見編集記事に見えるようでも、最終ページにクレジットが入っているので、広告を読み飛ばしていくと、あれま! 不思議なことに「LEE」の本質が見えてくるのです。結婚10年のインタビューとして田辺誠一&大塚寧々夫妻が登場して「夫婦って、秘訣とかじゃないかもしれません」(田辺)、「私たち、なんにも無理してないよね」(大塚)というスッテキ~な話が載っていたり、芸能界イチのセンスの持ち主・辺見えみりが友人宅で見つけた貝殻のランプに一目ぼれして同じものを買ったという話をしたり(でもよく考えるとマネっ子ちゃん)、パリ在住の料理研究家・松長絵菜さんにより「パリの乙女のソーイング」という夢溢れるページがあったり。今月号も「LEE」は「なんかいいよね」「なんかおしゃれだよね」という“浮遊おしゃれイズム”で成り立っていました。 <トピック> ◎「おしゃれ上手」は「着やせ上手」 ◎最旬“攻め”アイテムこそ、おしゃれの味方 ◎とことん遊ぶ! 家族でハワイ ■全部を叶える理想形は志茂田景樹 今月号の大特集は「『おしゃれ上手』は『着やせ上手』」です。冒頭ではモデルの倉本康子さんが「いかり肩」という読者総鼻ほじものの悩みを告白し、それをカバーするコーディネートを紹介しています。「こちとら太ももパツンパツンで細身のパンツなんか入らないんだよ!」「室伏広治か私かってぐらい二の腕が太いんですけどー」とお怒りのみなさん、落ち着いてください。モデルのページはさくさく終わり、「人気プレスの着やせマイルール、大公開」のページではアパレルメーカーのプレスの14人が登場し、我々のスタイルに近い等身大のお悩みを持ちつつ、解消するコーデを紹介。 「steady.」(宝島社)ではアジアン馬場園梓やハリセンボン近藤春菜を起用して、ぽっちゃりさん対策をしていますが、「LEE」はプレスを起用し、モデルには遠く及ばないけどぽっちゃりより細いという一番難しい線で読者の共感を得ています。これが「In Red」(宝島社)のように「オシャレ代表格」としてプレスの人が出ると読み飛ばすのに、「体型お悩み」のモデルとして出ると共感し出す(筆者調べ)なんて、女心は本当に変わりやすいものです。 ファッション特集からもう一本。「最旬“攻め”アイテムこそ、おしゃれの味方」と題し、パンチの効いているエスニック風トップスや今シーズン注目のカラーパンツなど、確かに「攻め」アイテムがふんだんに紹介されています。サブタイトルには「無難な着こなしをレベルアップしたい」。同じ世代を読者に持つ「VERY」がお受験や保育園・幼稚園での「悪目立ち」を恐れ、「Domani」が「いい女」に見られるのに年がら年中苦心しているさなか、「LEE」は「無難」からの脱却を目指す――30代ファッションの苦しいことよ。傍から見えればくだらないことかもしれませんが、ライフスタイルの選択=自己表現の一部、となる女の生き方の難しさを思い、クローゼットの前で立ち尽くしている女性たちを思っては途方に暮れてしまいました。何を着ればいいんだろ? ■家族で楽しむか、自分が楽しむか 今月号の「LEE」と「Grazia」にはともにハワイガイドマップが付いてきます。「LEE」は「とことん遊ぶ! 家族でハワイ」、「Grazia」は「子どもと一緒のハワイ」。同じ題材で結構な差がありましたので、対比してみましょう。 「Grazia」の方は登場人物が母と子だけ! 夫役のモデルは出てきません。そして一番最初の提案がファッション。「いつまでもお洒落でいたいから、新しい服に挑戦してみよう」とハワイを舞台にひとりファッションショーをしろと、10万円を超すオールインワンやワンピースを紹介。子どもと一緒に行けるレストランや遊び場所もあるにはあるのですが、全体を見渡してみても「私自身が楽しむ」ということに比重を置いているようです。 一方「LEE」は同誌でおなじみの料理研究家ワタナベマキさんファミリーがモデルとして登場。海や山でのアクティビティや家族で楽しめる買い物スポット、家族連れでも気兼ねしないホテルの紹介と、とことん「家族」で楽しむ路線を貫いています。 仕事と家庭に追われてハワイに遊びに来ているときぐらい「女」でいたいか、お気に入りのモノに囲まれいつも家族に気を配って生きている人(「LEE」読者)はやっぱり家族の思い出を作りたがるか。どちらがいい悪いというのではなく、「ハワイ」という題材ひとつとっても、方向性もまるで違う両誌。当たり前ですが、まるで違う価値観に生きる「母親」がいるということを改めて感じました。 今月号は本当にどこかしこも広告でちょっと物足りなかったのですが、来月号予告に「おしゃれプレママのマタニティスタイル」「ありがとう!豚肉BOOK」と項目を見つけ、おしゃれと生活感の融合という生々しい号になるとの予感を覚えました。うん、来月号こそ「らしさ」が返ってくると信じています! (小島かほり) 「LEE」 「MEN’S LEE」も発売中でやんす 【この記事を読んだ人はこんな記事も読んでます】 ・日本の理想形? 「LEE」読者家族のバランス感覚と幸せな写真がまぶしい ・ガワだけ押し付けられるイクメンブームと、つるの剛士の神格化のワケ ・「LEE」の”女を捨てた”ファッションは、良妻賢母と同性へのけん制の証? 最終更新:2012/04/16 16:26 次の記事 「お互いさま」に異議アリ! >