サイゾーウーマンカルチャー女性誌レビュー日本の理想形? 「LEE」読者家族のバランス感覚と幸せな写真がまぶしい カルチャー [女性誌速攻レビュー]「LEE」2月号 日本の理想形? 「LEE」読者家族のバランス感覚と幸せな写真がまぶしい 2012/01/14 17:00 女性誌速攻レビューLEE 「LEE」2月号(集英社) 今月号の「LEE」の大特集は、「ハピファミ達の最旬スナップ317人」です。「ハピファミ」という言葉が持つうさん臭さに眉根を寄せてしまう方も多いかと思いますが、リードには「家族みんなでおしゃれを楽しむ”ハピファミ”が増えた(略)」と書いてあり、「LEE」における「ハッピー」はおしゃれ度まで内包されたふわっとした感じのようです。 実際にファミリーのページを見てみると、男性陣はたまに「カバン職人」という方もいますが、ほとんどは「会社員」の肩書をお持ちです。会社というガチガチの規則の中に生きる術を得ながら、私服ではダウンベストや帽子、メガネ、チェックのシャツなどを上手く活かした、さりげないオシャレを身につけているバランスの良さ。そして、そんな男性を人生の伴侶に選んだ「LEE」読者も、この世知辛い日本を上手く生き抜いていけるタイプなんだと思います。それゆえ、「LEE」をずっと眺めていると、「今の日本における『ハピファミ』はこれかもしれない」と思えてくるから不思議なものです。 <トピック> ◎ハピファミ達の最旬スナップ317人 ◎足もとが決め手の冷え取りスタイル ◎「メルシー」オーナーのセンスが息づくパリの家 ■ヒートテックは無視! という心意気が素敵 今月号はファッションページ、「LEE」の通販の広告ページに分量が割かれています。この時期にありがちな「冬から春へ、お洋服もチェンジ」的な内容が多く、イマイチ面白みが感じられない中で、筆者の心をわしづかみにしたのは、「足もとが決め手の冷え取りスタイル」です。モデル、イラストレーター、アパレルブランドのプレスなど、オシャレ職業の方々が、コーディネートと冷え対策の両立を語っているのですが、「ストレスはNG! 無理せずマイペースで冷え取りを実践中!」「流行のトラッド靴でスタイリッシュな冷え取りに挑戦」など、大真面目に変なキャッチがついていて、全体のテンションがおかしなことに。「無理する冷え取り」が想像できない筆者は、発想が貧困なのでしょう。 紹介されている冷え取りアイテムも、シルクを使ったペチコートドレス2万2,050円、カシミアシルクレギンス1万9,425円と高額! 冷え症の人の悩みの深さにこれまで無知だった自分を恥じながら改めて全体コーディネートを見てみると、あれ? かなり薄手のワンピースやらカットソーなんか着ちゃって……。ペチコートドレスを買うより、厚めのニットの方が安いような気がするんですけど、やっぱり見た目がモコモコするというのがイヤなんでしょうか? でも以前指摘したように、「LEE」読者は雪だるまシルエットが好きなはずなんだけどなぁ。 ■IKEAでも無理ですよ! 「LEE」といえば、ファッションページでも、中山美穂の連載ページでも、インテリアページでも、とにもかくにもパリが大好き! 確かに現在の「LEE」読者が、「Olive」(マガジンハウス)愛読者最後の世代と重なるので、最後の踏ん張りを見せているのでしょうか? 今月号には、そんなパリ大好き女子が羨望の眼差しで眺めるだろう「『メルシー』オーナーのセンスが息づくパリの家」というインテリアページがあります。『メルシー』とは、洋服、雑貨、家具などを扱うセレクトショップ。60代と思しき女性オーナーの住まいを「建もの探訪」しているのですが、猫足のバスタブに、自然に外壁に伝う蔦、モダンシャンデリアやアンティークの小物がバランスよく配置された部屋など、インテリアブランドのカタログよりもセンスのある家です。渡辺篤史が来たら、褒めるところがありすぎて、あの美声が枯れることうけあい! この家は、グスタヴィアン・スタイルというもので、「フランスのロココ調と、木の風合いを生かしたシンプルな北欧調を融合させた、18世紀のインテリア形式」なんだそう。フランスと北欧の融合とは、多くの女性が憧れる最強の組み合わせ。 一見、名家の食器やら、ルイ14世を探してしまいそうな華美な建物をメインに紹介する「家庭画報」のパリ企画よりは身になるように思われがちですが、なかなかどうして「LEE」のインテリアページも非現実的です。それはやはり「本物」が持つ力なんだと思います。いくら我々が、「アンティーク風●●」や、「Francfranc」でそれっぽいものを買ったとしても、あの部屋には到底及ばないんです。物が付帯する歴史や文化を生かす術を身につけなければ、外国人が自身の体に漢字の「肉」とタトゥーを入れるのと同じこと。それでも「うちもあんな雰囲気にできるかも!」と夢見させてしまう分だけ、「LEE」の方が罪深いかもしれません。 今月号は読み物ページに面白いものがなくて、ちょっと物足りませんでした。「LEE」専属モデルの”はまじ”こと、浜島直子とELT持田香織の対談という謎の組み合わせがありましたが、びっくりするぐらいのつるっつる~の表面的な会話しかしておらず、筆者が覚えたのは「持田香織が水泳選手に間違われるぐらい、クロールの泳ぎ方がキレイ」という浅イイ話のみです。どこで披露すればいいのか、絶賛困惑中! しかーし! 来月号は「大反響! どうする? 2人目の妊娠」「突撃! 隣の家族のお財布事情!」といった生々しい企画があるようですので、首をなが~くして待ちたいと思います。 (小島かほり) 「LEE」 渡辺篤史さん、のどぬ~るスプレー持参で「メルシー」オーナー家へ向かってください 【この記事を読んだ人はこんな記事も読んでます】 ・売れない時代ゆえの勝者? 「LEE」のバランスの良さが他誌を追いつめる ・実用性なし! 表層的なつくりが31万部発行を支える、不思議な雑誌「LEE」 ・「いい子は所詮、どうでもいい子」高橋真麻が「家庭画報」で自信喪失 最終更新:2012/01/14 17:00 次の記事 もうフルーツを腐らせない! 「ドリンク三昧」でフレッシュジュース天国 >