ネイルケア、DVD鑑賞――「steady.」提案の自信アップ術がささやかすぎる
そんな中注目したのは、「彼女の行動○OK!×NG!」という座談会です。さぞや男の勝手な意見が収集できるだろうと息巻いて読み始めたのですが、内容は肩透かし……。「記念日に予約してる時は、それを意識しておしゃれしてきてほしい」「居酒屋ではドレスアップしすぎは若干引くかも」「飲みすぎて泣き上戸は困っちゃう」「テーマパークデートはヒールだと困る」など、あえて座談会なんか開いてもらわなくても、誰でも知ってるだろうというルールのオンパレード。しかし、この「あえて言わないといけない」という「steady.」のビギナー感には、ちょっと驚きでした。きっと、「steady.」編集部も、いわゆる“普通”の女の子である漠然とした読者層に、どこまで優しく、そして易しくすればいいのか、最初は手さぐりで状態だったのかもしれません。さまざまな企画を試み反応を見て、固まってきたのが、このビギナーもビギナー視点の企画作りだったのでは……と。とは言いつつも、「steady.」ちゃんたちは、そんなにもデートというものをしないのか、不思議でなりません。
■1カ月コーデに息づく「仕事より結婚」思想
ずっと見守ってきた、優木まおみと小池徹平カップルの1カ月コーディネート企画が今月号で完結しました。最終回は、小池徹平演じる「てっぺい」のイギリス転勤が決まり、まおみも商社を寿退社してついていくことになるという展開なのですが、もちろん事がスムーズに運ぶわけもありません。部長が突然、「取引先からおまえ(筆者註:まおみ)指名の仕事がきてさ。彼氏の転勤の話、お前少しだけ日本に残れないか」と仕事を振られたわけです。どうする! まおみ?(どうでもいいけど)
まおみは、てっぺいにこのことを話します。するとてっぺいは「すごいじゃん! 俺のことは気にせず頑張れ」とまおみの頭をなでなでします。しかし、悩み続けるまおみに、「ちょっとイギリスに行く時期が遅くなるからって、ここまで悩む必要があるのか?」と思ってしまうのは、筆者がドライすぎるのでしょうか。結局まおみは、日本での仕事の延長を断り、てっぺいと一緒にイギリスに行くことを決断。にもかかわらず部長からは「イギリス支社で働かないか」という都合よすぎる提案もあり、無事2人は入籍し、めでたしめでたしと相成りました。
こうした1カ月コーディネート企画にも、「steady.」の「仕事より結婚」という価値観が息づいていることを感じました。「steady.」は、サブカル層や都会でバリバリ働くOLにとっては、「誰が読んでいるか謎」な雑誌かもしれませんが、実は20代OL対象の女性誌では、最大級の売り上げを誇っているのです。それはつまり、「目に見えない保守層」がたくさんいるということを示しているわけで、昨今話題になっている日本の保守戻りを、「steady.」からはひしひしと実感してしまいます。