サイゾーウーマンカルチャー女性誌レビュー「steady.」がドジっ子をゴリ押し! カルチャー [女性誌速攻レビュー]「steady.」12月号 「steady.」が芹那を通して、女に嫌われる女の定番「ドジっ子」を再評価 2012/11/22 18:00 女性誌速攻レビューsteady. 「steady.」2012年12月号/宝島社 今月も、「今、最も男性にモテモテで非の打ちどころのない女子」である「石原さとみのA to Z」から見ていきましょう。今回は「E」ということで「emergency」がテーマです。石原さんは、「蚊に刺されやすい」「つま先を角にぶつける」「紙で手を切る」「何度も目に埃が入る」「マスカラ塗ると瞼につく」といった災難に遭いやすいんだとか……。ただ、そんなエピソードを見ていると、これって単なるドジっ子アピールではないかとモヤモヤしてしまいました。 しかも、単なるドジっ子かまってちゃんに留まらず、「心の管理ばかりではなく体調管理も気にしよう」と話し、自己管理のできる女であることもしっかりアピール。そこが、男子にウケる所以かもしれません。 <トピック> ◎石原さとみのA to Z「E」 ◎主役ニット5枚でいつでも可愛い1カ月着回し! ◎サロンde steady. うっかりやってしまったドジ ■芸能界一のブリッコ女・芹那降臨 ドジッ子ドジッ子と言っていたら、なんと今月からモデルに加わった元SDNの芹那が、1カ月コーディネート企画「主役ニット5枚で1カ月着回し!」にドジッ子OLとして初登場しています。「イベント会社勤務。愛嬌たっぷりの明るい性格だけどちょっぴりドジな27歳」「今までは先輩を頼りにしていたけど、これからは自分でなんとかしなくちゃ……と思いながらも失敗の連続!」という設定のようです。 いや、ここまで「ドジッ子」アピールをするということは、芹那演じるこのOLは、ドジッ子である自分にアイデンティティ持ってますよね。そのせいか、赤いカーディガンやミニスカートなどの服装も、「幼さ」や「隙」を演出しているように見えてしまいます。 そんなOL・芹那の会社での仕事っぷりはというと、「うぅ、二日酔いで仕事が手につかない」とか、外部からの電話のメモも残さず「え~と、誰かの電話か忘れちゃいまして……すいましぇん」と反省の色なし! 「部長」と呼ぶところを「先生」と呼んでしまうとか、コピーを頼まれたら枚数を間違えて大量に出てきたとか……。正直、「わざとでしょ?」と言いたくなるレベル。 しかも、合コンで友達のエリカに数々のドジ話を披露されて、プンプンしています。その友達のエリカも「え~天然でかわいい、ウケよかったよ」なんて言っちゃう始末……。周りが甘やかしているから、こういう天然女子が増長するのですが、よく考えるとエリカこそ真の天然なんじゃないでしょうか。だって、わざわざ合コンに来た男子の前で、友人の天然エピソードを披露するなんて、その子がモテるだけで自分にとってなんのメリットもないのに。エリカは、芹那演じるOLのような、わかりやすい天然女子が男子にウケるということを知らない子なのかもしれませんね。 そんなエリカのアシストもあり、芹那は最終的に、気になっていた後輩から「ホント僕がいないとダメですね」と言われ、いつものように本人に都合のよい展開で終わっていました。 いちおう、芹那がドジをするたびに、元国際線CAの接遇講師から「そんなドジッ子ではダメですよ」と、アドバイスが入るのですが、「steady.」が推し出す「ドジッ子=愛され」幻想、どうにかした方がいいんじゃないかと心配になりました。 「steady.」では、これまでにも、読者を「そこそこ女子」と言い切ってしまうこともありましたが、こんな不況下では、男子も自分のステディ=お嫁さん候補には、なにかプラスアルファを持っている女子を求めるのではないでしょうか。自分にこれといって売りのない「そこそこ女子」の面倒を、一手に引き受けてくれる男子なんているのかどうか……。 もちろん、仕事で頑張り過ぎたり、肩肘張ってオス化することが決していいことだとは思いませんが、若い男子もメス化しているというこのご時世、ドジッ子を「かわいいな」なんて思えるのは、旧型のマッチョ男性か、おいしいことだけ持ってきたい軟派男だけなのではないかと心配になります。 そのほかのページの見出しも、「冬の愛され主役ニット」「大人可愛い冬アウター」「わたしたちガーリーOLです(はぁと)」と、思考停止状態の見出しが躍っていて、ますます心配になってきました。 ■ドジエピソードが昭和! 「steady.」の怒涛の「ドジっ子」推し、極め付けは、読者のページ「サロンde steady.」。今号のテーマが、「うっかりやってしまったドジについてのトーク」だったのです……。 「洗顔フォームと歯磨きを間違った」「メガネを探してたらしっかりかけていた」「友達だと思ってかけよったら人違いだった」という、もうこれまで何百万回聞いたかわからないドジッ子エピソードにお腹いっぱい。 不況がこれから進むと、周囲の人がドジッ子を愛でる余裕もなくなるし、大人可愛いとかガーリーなどは嘲笑の対象にどんどんなっていくと思うのですが。 もっとも、「steady.」ちゃんが、世知辛い状況の変化に目ざとく気づいたり、世の中の汚い部分に目を向けたりしたくない、優しいよい子なのはわかります。 ただ、逆を返すと、意識の高い女子たちが、どんどん自分と社会を客観視し、その対応に追われている時代に、この「ぼんやり」「そこそこ」感は、見ていてハラハラさえしてしまいます。もしかしたら、一周して、「steady.」ちゃんたちは、そんな世知辛い世の中をほっこりさせてくれる、一服の清涼剤みたいな存在として必要なのでしょうか……。うーん、でもやっぱり、そうとは思えない。 だって、この雑誌に登場する、石原さとみや芹那は、最も客観的に自分のことを見ていると言っても過言ではない、有能な“仕事人”なのですから……。 (芦沢芳子) 最終更新:2012/12/20 17:42 Amazon 『steady.』 そのドジはサザエさんでもやらないね 関連記事 「夫の肩書き」「出会い方」を省略、「steady.」結婚式企画の淡白さ上から目線に弱い「steady.」が、悩み相談の相手に“子役”を召喚!?20代OLに憧れの気持ちを抱かせない、「steady.」の脱・カリスマ主義とは?ついに言ってしまった! 読者に「そこそこ女」という名称を与えた「steady.」なんとなく恋して仕事して悩んでいたい。「steady.」を覆うボヤっとした空気 次の記事 あゆ、嫉妬にかられてあてつけ婚? >