インパクト勝負

乾燥肌に「ウサギから絞った油」を塗る!? 女たちの度を越した珍美容法

2013/02/25 21:00
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「まじで言ってくれちゃってるわけ?」
Photo By popopopokokoko from Flickr

 「女とは美しくあるべし」という古来より続く考えに、取りつかれてしまった女たち――。「若くありたい」「美人になりたい」という女たちの思いは、いつしか度を越し、数々のあり得ない珍美容法を生み出した。今回は、まさに、美への執念の“結晶”ともいうべき、古今東西の珍美容法を紹介する。

■汚いはきれい、きれいは汚い!? 糞美容術

 一千年以上前から使用され、今でも美容業界で重宝されている美容品がある。商品としても出回り、かつての日本の美人たちにとっては、「売れ筋コスメ」として扱われたことも。

 その正体は「鶯の糞(うぐいすのふん)」……その名の通り、ウグイスのウンチである。日本では古来よりウグイスのさえずりをこよなく愛し、春を感じてきた。しかしそれだけではなく、その排泄物を利用してきたのだ。

 そういえば筆者の祖母も、まだ家庭でのウグイスの飼育が許されていた頃、祖父が竹製の鳥かごの中で飼っていたウグイスさまの糞を集め、日干しにしていたような……。「これで顔を洗うと美人になるのよ~」と言っていたが、子どもながらに「流石に鳥のウンチで顔を洗いたくないなぁ~」と思った。


 ちなみに今では鳥獣保護の法律により、国内のウグイスを含む野鳥は、捕ったり飼ったり食ったりすることが許されていない。また、海外のウグイス類もワシントン条約によって、日本には輸入できなくなっているのだという。

 しかし、糞商品はしっかり存在する。その仕組みとは近種の野鳥を適法に輸入し、業者で糞を生産しているのだとか。ということで、ウグイスの種類について調べてみると「スズメ目ウグイス科」と記されているのだが、その種類の鳥が豊富なこと豊富なこと。今、市販されている「鶯の糞」を名乗る製品は、「どの鳥やねん!?」というわけだ。いくら調べても、鳥の名前を特定することは不可ということだった。

 ところで、なぜウグイスの糞が「美」に役立つのだろうか。鳥は食生活により独特の糞をする。ウグイスの場合、好物は毛虫。毛虫を食べたウグイスは、胃や腸で強力な消化酵素を分泌し、食べた毛虫を消化するのだが、腸が短いため蛋白質や脂肪の分解酵素などが糞にたくさん含まれたまま排出されるとか。中でもリゾチームなどの、加水分解酵素が美白に効く成分なのだそうだ。「鶯の糞」の美容品は、現在パックや洗顔料などいろいろと販売中なので、そのスーパー糞の美白技をぜひ体験してみてほしい。

 そのほかにも、糞パワーは至るところでその力を発揮している。例えば、古来から漢方薬として用いられたり、インドでは今でも各種の動物の糞から医薬品や石けん、シャンプー、歯磨き粉などの衛生用品など、非常に幅広く利用されているとか。日本でも戦国時代に「馬糞治療」が存在していた(そういえば、海外の番組で、ゾウなどの動物の糞で髪を染めるという衝撃的なシーンを見たような思い出も)。

■韓国、美の狂気決定版 ゴキブリ美容術

 「うっ! まじですか?」と言いたくなる韓国発の美容法。なんとゴキブリをヨーグルトと一緒にミキサーに入れて、ドロドロのパックにしてお顔に塗るというものが存在するという。


 なぜよりにもよってゴキブリなのか……。考案者によると、ゴキブリの羽にはN‐アセチル‐D‐グルコサミンがβ(1‐4)結合した直鎖型の多糖類のキチン(チキン)キトサンがたっぷり含まれているのだという。キチン(チキン)は、ゴキブリ以外にも、カニやエビの甲殻や昆虫の外皮に含まれているのだが。

 キトサンと言えば、すでにサプリやコスメの分野ではお馴染みの成分。有害物質を排泄する効果などが知られており、多くの化粧品や美容液ですでに使われているという。

 もしかしたら、そのキトサンはゴキブリかも……といった懸念も残った。そういえば、知り合いの薬剤師さんが「ゴキブリって繁殖力旺盛だし、無菌で育てると無菌培養できるからねぇ~」と意味深なことを言っていた覚えも。しかし、いくら隔離して無菌状態で育てたゴキブリでも、すり潰してお顔に乗せるのはおぞましすぎる。

 補足ではあるが、ゴキブリはほぼ全世界(日本、中国、ベトナム、タイ、ナイジェリア、カメルーン、コンゴ、メキシコ、ブラジル、イギリス)の一部地域もしくは先住民族によって、広く食用として利用されてきた歴史もあるそうだ。また地域によって異なるが、民間療法では湿布や漢方薬の1つとして扱われた歴史もあるという。

■良心とのせめぎ合い ウサギ美容法

 昔からあるものではないが、あのカワイイウサギさんまで「美のためになるならば」と、研究開発されてしまったようだ。最近話題の美容法、ウサギから絞った油「うー油」である。

 どうやってウサギからオイルを抽出しているかを想像すると悲しくなってくるが、牛脂や馬脂(馬油)に比べてリノール酸、α-リノレン酸が多く、動物性油脂であるにもかかわらず植物性油脂に多いγ‐リノレン酸なども含まれているという。そして「うー油」には、「乾燥肌や敏感肌、ひび割れ、しわ、妊娠線等にお悩みの方に」なんていうキャッチフレーズがつけられている。
 
 ちなみにこの商品、筆者も旅行先で見つけて試供品をつけてみた経験があるが、その伸び、浸透性にはとても驚いた。多くのウサギが……と思いつつも、「ど~してもほしい」と思ってしまう一品に。

■庭先に眠っていたお宝! ミミズ美容法

 今ではすっかりメジャーになり、コスメショップではコーナができるほどの人気を誇るカタツムリコスメ。カタツムリの、あのネバネバの分泌液には、コラーゲン、エラスチン、グリコール酸などなど、たっぷりと美容成分が含まれている。この成分が肌を再活性化し、新陳代謝を促進する効果があるとされているのだという(そういえば、ナメクジのネバネバも、成分はカタツムリと同じだそうだ)。

 にしても最近は、カタツムリ以外にも、ゲテモノ系コスメが多数登場している。ヘビ毒、フグ毒、ハチ毒などの「猛毒系」と、女心をくすぐる「コスメ」がコラボするという事態に。

 そして、さらなるゲテモノコスメとして注目されているのがミミズである。このミミズのルンブロキナーゼ(ミミズ酵素)は、すでに製薬業界ではメジャーである。日本でも宮崎県内の某社が、大量のミミズを量産し、ミミズの粉末・製造販売がスタートしているほど。そんなミミズを原材料にしたコスメが、ミスト化粧水や美容液としてコスメショップに並び出しているというから、ぜひそのパワーをお試しあれ。

 ところでこのミミズ入り化粧品のお値段は、4,000円近いものもあった。ミミズが4,000円……? 「だったらこの際、庭先のミミズを乾燥させて」と思った方もいるだろう。是非ゴキブリパックと同様の方法でお試しになってみてはいかがだろうか(念のためにパッチテストはお願いしま~す)。
(ふじえりこ=美容・健康ライター)

最終更新:2013/02/25 21:00
『うぐいすの粉 容器入り』
「糞」を「粉」に変換してもだまされない!