サイゾーウーマンカルチャー女性誌レビュー「婦人公論」セックス特集の陰で、青木さやかが実母への複雑な感情を吐露 カルチャー [女性誌速攻レビュー]「婦人公論」6月7日号 「婦人公論」セックス特集の陰で、青木さやかが実母への複雑な感情を吐露 2012/05/28 21:00 女性誌速攻レビュー婦人公論 「婦人公論」(中央公論新社)6月7日号 「婦人公論」6月7日号の特集は、みんな大好きエロ特集、「大人の女性は快感を知っている」です。“セックス識者”の岩井志麻子×湯山玲子対談、“二股評論家”の山路徹を交えたセックスレス妻の匿名座談会など充実の内容です。個人的には、女性向け性感マッサージやフェラチオ講座(本物のペニスを使っての実技あり)の体験ルポ「とろけるほどの快楽で、私をもてなして」がいちばんジンワリきましたよ。「舌先でペニスを舐めながら、袋と肛門の間の会陰を指先でタッチ」ですって! お約束の読者アンケートでも、「立ちバックが一番感じる」(49歳)、「解消しきれない性欲をマスターベーションで消化している」(51歳)、「お互いに舐め合う」(58歳)など生き生きとしたコメントが満載ですよ~! <トピック> ◎特集「大人の女性は快感を知っている」 ◎青木さやか「“憧れの結婚”を手放した私は矛盾の塊!?」 ◎井ノ原快彦「毎朝続けるコツは頑張りながら、頑張らない」 ■おもしろくないわけがわかった 特集がアレなもんで、ソコばかり注目してしまったり逆にドン引きしてしまったりする淑女も少なくないと思います。それ以外の記事もぜひ読んでいただきたいので、今回は青木さやかインタビュー「“憧れの結婚”を手放した私は矛盾の塊!?」からご紹介します。2007年に3歳年下のダンサーと結婚し、10年に長女を出産、産後半年頃から1年半の別居を経て、この3月に離婚した青木。結婚前、30を過ぎた頃から結婚したくてたまらなかったそうで、「ずっとさみしかったけれども、有名になればきっと何かが変わると思って頑張ってきたんですね。でも仕事でスケジュールが埋まるようになっても、心は満たされないままだった」と振り返ります。 子どもについては、「若い頃から子どもが苦手だったし嫌いでした」と率直に語る一方で、「苦手なくせに、子どもはほしくてたまらなかった。子どもが生まれたら、私自身が変われるかもという期待もありました」と語ります。こういう自己中心的で母性を否定するような発言は、ともすると同性(特に既婚女性)からバッシングされる危険性が高い。しかし、実際には同じように妊娠・出産を「私が生まれ変わるためのイベント」と考えている女性は少なくないのではないでしょうか。それを自覚しているかいないかは別として(ちなみに、青木は産んでみたら娘がかわいくてしかたがないそうです)。 さらに、自分の母親に対して抱いている複雑な感情も丁寧に説明します。母親は教師で厳しく、「○○してはいけない」と怒られていた記憶ばかり。母親に褒められたいという思いがやがて反発心へと変わっていったそう。 「お笑い芸人になったのだって、『公務員になりなさい』というのが口癖の母がいやがる職業だったから、という部分も大きいのかもしれません。(中略)芸人として売れるようになるまでの私の原動力って、母への反発心、それがほとんどでした。34歳で結婚した時、心底ほっとしたのは、母への反発力だけで仕事をしていくことに息切れしていたからだと思います」 「いい年して、いつまでも母親のせいにして生きていくのもみっともないですが、がまんならない自分もいます。どうにかならないものか(笑)」 これだけ自分の負の感情を、「同情してください」という物欲しそうな脚色をせずに、冷静に言葉にすることができる青木さやかってすごい。もちろん芸能人ですからどこまで真実かはわからないし、公にできない部分もあるでしょう。しかし、それを差し引いた上でもいかに彼女が繊細な人かが伝わってきました。皮肉なことにこれを読んで初めて青木を「おもしろい人だ」と思いましたよ。こんなことを考えていたんだったら、結婚前の“負け犬キャラ”がつまらなかったのも仕方ありません。 ■誰もが翔くんでいる必要性はないもの イノッチこと井ノ原快彦のインタビュー「毎朝続けるコツは頑張りながら、頑張らない」も掲載されています。NHKの朝の情報番組『あさイチ』の司会を始めて3年目。「僕の役割は、わからないことを『わからない』と言うことなのだろうし、逆にそれが僕の強みではないかと」とイメージを裏切らない発言をしつつ、「後輩の嵐の櫻井くんがキャスターをしている姿を見ると、『僕もスーツでバリッときめて』とか『気の利いたコメントで教養あるところを見せちゃおうかな』と、欲が出やすい。でもきっと1~2ヵ月もしたらバテてきて『ごめんなさい、無理してました』となるはず。そっちのほうが恥ずかしいじゃないですか。だからできるだけ素のままです」と語っています。やっぱり後輩を意識したり自分のキャラ作りに悩むこともあるんですね。 「今、僕は36歳。アイドルは年齢とともに方向性が難しくなる職業です。僕も事務所では『俺ももう歳だからさ』なんて発言している自分がいたりする。(中略)でも、僕みたいなタイプは逆に、歳をとってからのほうがいいのかもしれないと思います。40代、50代になって人生の重みみたいなものが身についた時に、堂々と取り組める役柄や仕事がいっぱいあるはずだ、と」とアラフォーアイドルの胸の内をのぞかせました。次から次へと若いタレントがわいて出てくるジャニーズ。すでに妻子がいる井ノ原としては相当なプレッシャーがあると想像します。35歳を過ぎて迷う気持ち、女性とジャニーズアイドルには通じるところがあるかもしれません。 ■思い出の男たちが死んでいく中で見えるもの イノッチ36歳、青木さやか39歳が以上のような熟成度です。それを超越するとどうなるのか。連載「上野千鶴子のニッポンが変わる、女が変える」第2回を見てみましょう。ゲストは瀬戸内寂聴90歳。63歳の上野千鶴子なんてまだイヤイヤしてる赤ちゃんですよ。しかし、赤ちゃんは怖いもの知らずでもある。相手が妖怪だろうがゾンビだろうが果敢に立ち向かいます。 上野「宗教家には、来世を弔うことができます。当然、来世を信じていなければ、弔うことができない。瀬戸内さんも来世を信じておられるのですね」 瀬戸内「教養が邪魔して(笑)、当初は来世を信じていませんでしたが、10年くらい前から信じるようになりました」 上野「ということは、得度なさった時にはそうじゃなかったんだ!」 瀬戸内「そんなの、信じてませんよ」 (中略) 上野「何をきっかけに来世をお信じになったのでしょう」 瀬戸内「周りの人がたくさん死んでいきました。仲のよかった男も全部死んでいった。一人もいない……。それに、私は反権力で殺された女たちの伝記を書きました。その人たちの声が書く途中で届くんです。あ、体は死んでも魂はあるのだなって、実感しました」 上野「私もだんだんそうなってきていますが、瀬戸内さんはワケありの関係者が多いですから(笑)」 どうですか。ここまで読んでから、改めて巻頭特集「大人の女性は快感を知っている」を読んでほしいと思います。「夫が病気になり、する意欲を失っています。私は『(勃たなくても)指と舌と言葉があるでしょう』と言っているのですが」(67歳)、「クンニリングスを1~3時間してもらう。カミソリであそこの毛を剃ってくれるのも楽しくてうれしい」(63歳)、「彼が絶頂に向かう気配を感じて、自分でクリトリスに触れリズムを合わせるとオーガズムが」(60歳)といった読者のコメント一つひとつに人生の重みを感じませんか。喜びや悲しみ、出会いと別れを無数に超えてきた女のカラダは全身性感帯ですよ。すべてに性を感じて打震えますよ、想像ですが。そこらのホテルでバッタみたいな交尾をしている若者たちよ、「婦人公論」を半年読め。セックスはそれからだ! (亀井百合子) 「婦人公論」 「処女として生きて」の読者手記もモンモンしました~ 【この記事を読んだ人はこんな記事も読んでます】 ・美談に隠れた真実、“震災離婚”を掘り下げた『婦人公論』の気概に拍手 ・野田聖子、「60歳までにもうひとり産みたかった」と「婦人公論」で発言 ・「それぞれの家庭に“雅子さま”がいる」、「婦人公論」で皇室バッシングを考察 最終更新:2012/05/28 21:00 次の記事 『徹子の部屋』で友近が逆襲 >