サイゾーウーマンカルチャー女性誌レビュー「婦人公論」で皇室バッシングを考察 カルチャー [女性誌速攻レビュー]「婦人公論」4月22日号 「それぞれの家庭に“雅子さま”がいる」、「婦人公論」で皇室バッシングを考察 2012/04/11 16:00 女性誌速攻レビュー婦人公論 「婦人公論」(中央公論新社)4月22日号 「婦人公論」4月22日号の表紙は、ポスト上戸彩として昨年からドラマにCMに絶賛売り出し状態の武井咲です。「婦人公論」の表紙は、いつも熟女ばかりではなくたまに若い人も出ることがありますが(昨年の例だと20代の杏や石原さとみ)、それにしても若い、18歳です。今月26日から連続ドラマ『Wの悲劇』(テレビ朝日系)に主演、現在放映中の大河ドラマ『平清盛』(NHK)にも、源義朝と清盛に愛される常磐御前役で出演中。今年は出演した映画が3本公開されるそうです。とにかくこの出ずっぱり感たるや、「いったい何がどうしてこうなった?」と思わずキョトンとしちゃうほど。大河のオファーが来たときは「お芝居を始めてまだ2年しかたってないのに」と驚き、プレッシャーを感じたそうです。いや、ほんとこっちが驚きますよ! ま、酸いも甘いも噛み分けた「婦人公論」読者からしてみたら、「こんだけ手間かけてもらってんだから、いきなりジャニーズとデキ婚とかしないようにがんばんなね、スパ~(タバコの煙を吐く音)」ってとこですかね。売れるのも突然なら消えるのも突然、それが芸能界の不思議なところです。 <トピック> ◎特集「40代から始める 老いない脳をつくる生き方」 ◎もう雅子さまを縛らないで! 意外と多い、離婚のすすめ ◎中居正広 30代最後の壁 すべての挑戦は、必要としてくれる人のために ■かわいそう? それとも自己責任? 特集は、「老いない脳をつくる生き方」。健康系の特集に掲載されている情報は、往々にして「そんなこたぁわかってんだよ、ただ実践できないだけだよ」ということが多いのでスルーさせていただきます。気になる方はぜひお読みになって実践してみてください! さて、今回は皇室企画をじっくり見てみましょう。昨年秋、愛子さまの校外学習に付き添ったことがきっかけで週刊誌などで始まった雅子さまバッシングを考える「緊急企画 皇室バッシングをめぐる女性たちの本音 もう雅子さまを縛らないで! 意外と多い、離婚のすすめ」です。企画冒頭のページでは、30代から50代までの主婦やワーキングウーマンなど立場の異なる女性17人に意見を聞いています。自由に生きられないことや能力を生かした仕事ができないことに同情する声もあれば、「皇太子妃として求められる役割を適切に果たしていない」「皇室入りをご自分で決断したのだから自己責任はある」といった厳しい意見もあります。その上で、離婚や一家での皇籍離脱を唱え、自分らしい生き方を選択してほしいといった意見も。 これらの声の背景に何があるのか、次のページでフランス文学者の鹿島茂氏が分析しています。氏には昭和初期の皇族を追った『宮家の時代』(朝日新聞社)の著書があります。鹿島氏は、「世の女性たちが『雅子さまがかわいそうだ』と感じているのは、自分に重ね合わせて『やりたいことができずにいる』ことに共感しているからだと思います。女性たちのストレスを代弁しているのでしょう」と分析。 「人間には時間はひとつしかありません。片方で仕事を選んだら、家庭で十全な子育てはできなくなる。バリバリ仕事をしている人は、家庭の幸せに憧れ、一方家庭に入った人は、自己実現としての育児に励むものの、自分は仕事をするという選択肢もあったなあと思う。どちらもそれが最上の選択だったとしても、後悔を伴うもの」 「『家を出て離婚すれば自由になれる』という離婚幻想が女性たちにあるのも、離婚のすすめの大きな理由でしょう。しかし、自由にもなれるけれど、失うものも大きい。僕は雅子さまがこういう選択をするとは思えません」 「僕は『それぞれの家庭にそれぞれの“雅子さま”がいる』と考えています。(中略)雅子さまは、時代と社会の軋轢の狭間の象徴で、今回本音を語った女性たちも、“生きにくさ”を感じているのではないでしょうか」 と、以上のように論を展開しています。おじさん目線のためか、やや紋切り型というか細やかさに欠けているような気がしたことは否めませんが、大枠ではなるほどと思わされました。特に「離婚すれば自由になれるという幻想がある」といったくだりは、離婚への夢をあおったり打ち砕いたり激しかった「婦人公論」前号の離婚特集と合わせて読みたいところです。 しかし、筆者がいちばん驚いたことは、雅子さまに自分を重ね合わせて共感している女性がいる(と思われている)という点です。前々号の「婦人公論」では、ブスとしての生きにくさを超えた木嶋佳苗容疑者に憧れる“佳苗ガールズ”がいるというルポをご紹介しましたが、雅子さまに重ねたり、佳苗に憧れたり、極端です。みんな生き方に迷いすぎて身近にほどほどのよいロールモデルがいなくなってしまったのか、あるいは情報が多すぎて皇室も犯罪容疑者も芸能人もいっしょくたになっているのか……。どれだけエキサイティングな人生を求めているのか、と。ま、自戒もこめてですが。ちなみに上記のように「婦人公論」の濃厚な記事を読んでいると、バックナンバーの関連記事を思い出して参照してみたくなることが多々あります。定期購読をおすすめしますヨ! ■バカに見えても…… 今号は、SMAP中居正広のインタビュー「30代最後の壁 すべての挑戦は、必要としてくれる人のために」も掲載されています。冒頭で、 「今、新たな段階へ進む準備ができた、と思っています。若い時はまだ自分が何をやりたいのかがわからず、模索していました。『いろいろ試してみたい』という欲張りな気持ちと、『自分に何ができるのか』という不安の間を行き来しながら、さまざまなジャンルの仕事を経験して。30代を迎える頃、ようやく自分は司会がやりたいということが明確になったんです」 と語る中居司会者。その上で、「どんな仕事も常に不安はあるし、けっして自信があるわけではありません」と語り、「『笑っていいとも!』などもノリでやっているように見えるかもしれませんが(笑)、実はけっこう緊張しているんですよ」と意外な事実を明かしていました。今月から主演を務める連続ドラマ『ATARU』(TBS系)がスタートしますが、ドラマを録りつつバラエティーや司会をするのは精神的にもけっこうキツいとのこと。それでも、締めはこんな言葉で結んでいました。 「何事においても『もっとこうすれば』と考えるようにしています。そして僕を必要としてくれる人がいる限り、全力で応えていきたい。その思いを原動力に、これからも走り続けます」 こうして書き出すと、よくあるタレントのインタビューという感じがするかもしれませんが、彼は「国民的アイドル」と呼ばれて、時代に求められ消費され、それでも20年踏みとどまってきた人間。華々しい活躍の陰で、尋常ならぬプレッシャーやキツい現場も経験してきているはずです。求めてくれる人のために生きているのに、必ずしもいつも感謝賞賛されるわけではない。そんな生き方を選んだ人の、歩んできた道についた足跡の重みのようなものを感じさせるインタビュー&グラビアになっていました。 今号は、ほかに新連載のルポ「女子刑務所――知られざる世界」が開始しています。女子受刑者だけでなく、子育てと両立させながら働く女性刑務官の仕事にも注目している点が新しく興味深かったです。いろいろな生き方があって人生がある。当たり前のことですが、大切なことに気づかせてくれる「婦人公論」でした。 (亀井百合子) 『婦人公論』 だから中居クン、バラエティーのときに死んだ目をしてるのね! 【この記事を読んだ人はこんな記事も読んでます】 ・娘を人質にストーカー行為! 「婦人公論」の離婚特集は案の定ホラーへ ・「捨てたいと言うより死んでほしい」、「婦人公論」の“夫断捨離”特集 ・産んだだけで全部チャラ? 「婦人公論」誌上で母性神話のタブーに切り込む 最終更新:2012/04/11 16:00 次の記事 美容には紫外線が必要だった!? >