[連載]亀井百合子の「オシャレな女に憧れて」

押尾学と親密交遊! 野口美佳の金持ち的思考回路が知りたい!!

2009/08/15 12:00
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『愛と勇気』野口美佳/ワニブックス

 押尾学事件の現場である六本木ヒルズレジデンスの部屋の所有者ということで注目されている、ピーチ・ジョンの”みかじょん”こと野口美佳社長。報道によると、ほかにも都内に何部屋か借りていて、押尾に「好きに使っていい」と合鍵を渡してたらしい。

 なぜ? なんのために? どうしてよりによってあの押尾に? で、家賃合計いくらなの? とソボクな疑問がいろいろわいてくるのだが、まー考えてもわかるわけがないので、とりあえず「金持ちは考えることが違う」ということで自分を納得させている人も多いのではないだろうか。はて、本当に金持ちは考えることが違うのか。野口社長の著書を読んで探ってみた。


 野口社長の主な著書は3冊。『男前経営論――ピーチ・ジョンの成功哲学』(東洋経済新報社)、『愛と勇気』(ワニブックス)『胸から伝わるっ (ほぼ日ブックス)』(朝日出版社/対談本)。基本はどれも”オレの成功話”なのだが、「胸から伝わるっ」はピーチ・ジョン以前の苦労話が多い。金持ちになる前の、考えることが割と庶民に近い野口社長を知りたければこちらを読むといい。

 金持ちになったあとのことについては、『男前経営論』と『愛と勇気』に詳しい。『愛と勇気』には、これまでどんなことにお金を使ったか、その変遷が書いてある。まず、最初はエルメスやシャネル、外車などの高級品を購入。次の段階では、高級ホテルに泊まったり、ファーストクラスに乗ったりするなど高級なサービスに金を使い、さらに次の段階では住まいのインテリアや庭などやすらぎの空間にお金をかけた。その次はオペラや有名レストラン、高価なワインなど一瞬の快楽にお金を使い、その次は、クリエイターやアーティストの仕事を手伝い、そして、現在(この本が出版された03年当時)は、読書をしたりリュック一つで旅に出たりする時間を持ちたいと考え、唯一の贅沢は運転手を雇っていることだと語る。

 「こうして振り返ると、なんてみごとに典型的な成り金っぷりだろう。(中略)ちょっと恥ずかしい」(『愛と勇気』)


 

 と一応恥じらいも見せてます。そのへんの感覚は正常のようだ。まあ、ブランド品やワインにハマるくらいなら庶民にも理解できる話である。だが、05年に出版された「男前経営論」ではさらに新しいステージに突入!

 「今、ひとつ考えているのは10年後、50歳で引退したら、個人的な資産を全部持って世界のどこか貧しい地域に行くという計画です。私の個人資産程度を寄付しても、焼け石に水でしょうから、そのようなことはしません。私にできるのは、その貧しい土地の人たちにお金の儲け方を教えてあげることです。そこの人たちのやる気と私が培ってきたビジネスのノウハウがあれば、少なくとも彼らが自立した生活を送れるようになるくらいまでには、できる自信があります」(『男前経営論』)

 

 ええっ、ギャル相手の下着通販で培ったノウハウで、自立した生活が送れるようになるというのはどこの貧しい地域のことっ!? 冗談言ってないで、ヤク部屋、ヤリ部屋を今すぐ解約して、浮いた金を寄付してください! 焼け石に水とか言ってないで、今すぐ! ……と、考えるのは庶民であって、やっぱり金持ちは考えることが違うなあ、と感心した次第です。もっともこの本が出版されてから4年経っているので、また別のステージに移っているかもしれない。野口社長にとって金を使うことは趣味みたいなものだから、気まぐれであってもおかしくない。


 金持ち野口社長は、お金だけでなく人との出会いも大切にしている。人を見る目に絶対的な自信があるようだ。

 「いろいろな人と食事をしたり、お酒を飲んだりしますが、社長として無意味な時間にはしたくないと思っています。できるだけ有意義な人と、有意義な時間を過ごしたい。はっきり言って私は、プライベートでは付き合う人を選んでいます」(「男前経営論」)

「私の才能は、人に出会い、見つけることなのではないかと思っています」(『男前経営論』)

「人は第一印象。私は人を第一印象で決めちゃうほうだ。だから面接は、最初の一分で決まってしまう」(『愛と勇気』)

 

 交友のあったホリエモンは刑事裁判で上告中、折口雅博は事業停止命令、押尾たるや亡くなった女性を放っぽらかしてクスリで逮捕……。金持ちが考える「有意義な人」は庶民の道徳や倫理を超えている。ちょいワル、いや超ワルとお付き合いできてこそ一人前の金持ち! やっぱり考えることが違うわ。もっとも野口社長本人は今回の押尾事件で「押尾容疑者を安易に信頼してしまったことを深く省みております」と反省しているようだ。本当だろうか。

 野口社長の本を読んだ結論として、やっぱりお金持ちの考えることは違うと再認識した。六本木ヒルズレジデンスの家賃が約40万円(1LDK)だそうなんで、貯金をはたけば1カ月~2カ月くらいはヒルズ族の気持ちが味わえるかも。あ、ヒルズも敷金礼金とか必要なんだろうか。何ヶ月分かな? そんな細かいことを気にしているようじゃ、お金持ちにはほど遠いのである。
(亀井百合子)

亀井百合子(かめい・ゆりこ)
1973年、東京都の隣の県生まれ。編集プロダクション勤務を経てフリーランスライターに。ファッション誌やカルチャー誌のライター、アパレルブランドのコピーライターとして活動中。

『愛と勇気 (単行本)』

結局、ダメ男に人生狂わされちゃったね

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最終更新:2019/05/17 20:44