インタビュー

形成外科医・上原恵理医師が「おっぱい」のウワサをジャッジ!【その美容法は意味がない!】

2019/12/18 21:00
サイゾーウーマン編集部
上原恵理先生

 雑誌やテレビ番組、インターネットで数多く紹介される“美容法”。その中には、医学的な根拠が証明されていないものや、「むしろ逆効果」というものまで存在しているようだ。
 
 自身のSNSで、ちまたに広がる真偽不明の美容法に“鋭く”切り込み話題になっている、「表参道スキンクリニック」表参道院の医師・上原恵理先生に、5回に分けて“美容法のウワサ”を斬っていただく「その美容法は意味がない!」シリーズ。第1回目となる今回は「胸」にまつわるアレコレを聞いてみた。

育乳マッサージは垂れ乳促進マッサージ

――バストアップに効果的な方法として、「背中などの肉を胸に持ってくる」というものを聞いたことがあります。そのようなことは可能なのでしょうか?

上原恵理先生(以下、上原) 背中の脂肪をバストに持ってくるなんて絶対にできません。まず、バストの構造をご説明しますね。バストは皮膚の下に脂肪組織があり、その下に乳腺があります。それらはクーパーじん帯や線維で“ガチガチ”にくっついていて、手術のときは、メスや電気メスで切り離さないと動かないほどの強固な組織です。なので、手で寄せた程度では、背中やおなかなどのぜい肉が胸に移動し、がっちりとした組織でできた胸に定着するなんてことはあり得ません。

――マッサージで太ももの肉を寄せ続けたら、脚が細くなり巨乳になったという話を聞いたこともあるのですが……。

上原 もし、マッサージによって脂肪が動く説が本当であれば、重力がある地球で生活していたら、年齢を重ねるごとに全身の脂肪が下がって足に溜まっていくはずです。そんな老人、見たことないでしょ? 「マッサージで太ももの肉が胸まできた」という人には、「その逆は見たことある?」って聞きたいですね。


――揉むと大きくなるという説はいかがでしょうか?

上原 揉んで大きくなるのは、単にバストが腫れているだけです。顔を往復ビンタすると腫れますよね。バストも同じで、痛いくらいマッサージすれば当然腫れます。通常、腫れは2週間ほどすれば治まるので、美胸マッサージなどを行っているお店は「また2~3週間後、定期的に来てくださいね」と言うわけ。毎日のようにマッサージをしていると、常に腫れている状態になるので、大きくなったように見えますが、ずっと炎症を起こし続けているわけですから、やめた方がいいですよ。後々どんな弊害が起こるかは、元の顔に戻らないくらい毎日往復ビンタされ続ければわかると思います。それに、揉めば揉むほどに垂れやすくもなりますしね。

――揉むと垂れやすくなるんですか!?

上原 揉むことで、じん帯が伸びたりブチブチ切れたりして、バストがどんどん下がっていってしまうんです。美乳マッサージは、自分で「努力して」垂れ乳を作っていることになります。

――自ら垂れさせていたとは驚愕です。睡眠時にバストアップや胸の形を整える「ナイトブラ」もありますが、そのようなものを着けていれば少しは違うでしょうか? 育乳効果を謳っている商品もありますが……。


上原 バストの大きい人は、胸の重さでクーパーじん帯が伸びたり切れたりして垂れる原因になるので、ナイトブラなどで支えて、垂れを予防するということは考えられます。でも、バストを大きくしたい人が、ナイトブラを着用しても意味はありません。着けて寝るだけで大きくなるなら、私だって今頃巨乳になっていますよ(笑)。

――何もしなくても、加齢とともに垂れていきますよね。どうにか防ぐ方法はないのでしょうか?

上原 乳腺は、若いうちはムチっとしていて密度も高いのですが、残念ながら加齢とともに委縮して、小さくスカスカになっていき、それによりバストが下垂するのです。あとは、出産の有無も関係がありますね。出産・授乳によって、バストは一時大きくなる。つまり、乳腺が授乳のために発達するのですが、その後しぼむことによって、バストはより下垂します。もし垂れてしまったら、今のところは手術するしか戻す方法はないですね。どうしても自力でどうにかしたいなら、宇宙空間に行けばいいでしょう。無重力になれば、垂れたバストも上がりますから。

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