サイゾーウーマンカルチャー女性誌レビュー仲良し親子の裏に見える、「STORY」世代の複雑な母娘関係 カルチャー [女性誌速攻レビュー]「STORY」1月号 仲良し親子の裏に見える、「STORY」世代の複雑な母娘関係 2010/12/30 11:45 女性誌速攻レビューSTORY 「STORY」(光文社)2011年2月号 「ニッポンの40代はもっともっと若くなる!」という、ダーウィンの進化論を真っ向から否定するテーマを掲げ、バブルの匂いを引きずる40代女性の生き方を全面的に肯定し続ける「STORY」ですが、ここ最近は相方である「美STORY」(ともに光文社)の激しいキャラ立ちや、40代向け女性誌「GLOW」(宝島社)の創刊など、方向性に若干の迷いも見られます。そもそも、イケてる旦那と自慢の子どもに囲まれて、所帯染みたことは何も気にせずカワイイ私(はあと)を夢想する雑誌なのに、このところは激しい「働け」押し。ウォッチャーとして、今後の展開は非常に気になるところです。 <トピックス> ◎大特集 シャツとデニムが、私を語る! ◎前よりオシャレになった「あの人」の理由 ◎働く40代「ブルーマンデーには、大好きな服!」 ■温泉女子会でまさかの伝票芸 大特集「シャツとデニムが、私を語る!」に入る前に、巻頭の「STORYモデルズ、秘密の(はあと)温泉女子会」を見てみましょう。さすがに旬は過ぎたのか、「女子会」という言葉を雑誌などで見ることも少なくなりましたが、ここは賞味期限を引き延ばすのが得意な「STORY」。前田典子、前田ゆか、里織、倉本康子のモデル4人による温泉女子会は、”しっぽり”とは無縁。女将による華道講座に、近所のパワスポ巡り、風呂上がりはドレスに着替えてパーティーモード……とやれることは何でもやり尽くします。浴衣でガールズトークでは、お互いを誉めつつも己の充実っぷりを語ることに余念がありません。 「私は続けざまに2回の海外ロケに行かせてもらえて世界が変わった気がする」(ゆか)と言えば「海外ロケ以降、ゆかさん、さらにキレイになったって評判よー!」とオネエのように持ち上げる。「私はビューティ連載を持たせてもらえるようになって、自信がついたかも。(中略)おかげで恥ずかしいんだけど、街で時々ナンパされるように。もちろん断るけどね(笑)」(里織)という言葉に「えーっ、すごくない? STORY効果恐るべしじゃない?」と前田典子が煽ります。近所の喫茶店で「奥さん、ここは私が」って伝票を取り合うおばちゃんの伝統芸を見せられているようで、ほのぼのとした気持ちになりました。イメージカットにはなぜか脱衣所のカゴに入ったド派手なピンクの下着。いろいろな意味で「STORY」っぽい巻頭企画です。 ■アラフォー母娘関係の闇 ファッションでは「デニムと白シャツ」、メイクは「スッピンメーク」と、やたらと「シンプル」を強調してくる今月号。「シンプルなスタイルだけに鏡のように今の自分を知らしめる怖さがあるのも事実」と、上級者ならではの着こなしを提案していますが、やっぱり今回も「バーキン」オチです。プチプラの時も「格上げ小物」としてバーキンでまとめてませんでしたっけ? 「STORY」におけるバーキンとは、EXILEメインのバラエティーに放り込まれるブラックマヨネーズやザキヤマ(山崎弘也)のように「どんな状況でも何とかしてくれる」存在なのですね。しかしこれらバーキンは「母から引き継いだ宝物」「自分に喝を入れるために買った」と決して”チャラっと誰かに買ってもらったわけじゃない”とのこと。 単なる便利品ではなく、バーキンにもストーリーが無くてはダメ。ヴィトンすら持ってない我が母を思えば、どっちにしろ何倍もハードル高いです。 しかし、たとえバーキンをくれない母親でも娘にとっては一番の支えになる存在。とういわけで連載「私たちのCHALLENGE STORY」には、「STORY」世代の母におくる感謝の企画が。「出戻り娘”ホームズ”からの感謝状」です。ホームズとは「離婚をして実家に戻った、いわゆる”出戻り娘”のことを指す新語」ですって。「STORYスタッフの間でもよく使われている言葉」だそうなので、今知らなくても、来年はホームズブームがくるかもしれませんよ。 離婚して実家に戻った8人の女性たちが、実家の居心地の良さと近親憎悪、両親の老いへの実感を赤裸々に語ります。年齢や生活環境は違えど、どことなく「I LOVE mama」(インフォレスト)のシンママ(シングルマザー)苦労話に通じるところが。浮気夫からの暴力を振るわれたり、イタリア人実業家夫に貯金や亡き父親の遺産の全てを貢いでしまったり。そして結婚でも離婚でも両親の反対を押し切った娘を、なんだかんだで優しく迎え入れる実家。娘たちは家事や育児を母親に任せ、好きな仕事をバリバリこなすわけです。一見、娘にとって好都合と思われるこの関係、しかし実際は、結果的に娘の人生をコントロールしている母親の方が一枚も二枚も上手。受け継がれるバーキンにも「不幸になるな。でも私より幸せにもなるな」という裏メッセージが込められている気がしてしまいました。もう、「STORY」さん、年末に下衆な勘ぐりさせないで! オーバー40代による蜜月親子関係にげんなりした貴女、今月の「最旬王子様ファイル★」でお口直しを。今月はKis-My-Ft2の藤ヶ谷太輔、北山宏光の二人が登場しています。「STORY世代については?」という質問に「人妻って興味あります」(藤ヶ谷)「甘えちゃうかも」(北山)と、判で押したような回答。それに対して「お上手、と思いながらも”騙されてあげる”って気分に」と被せる「STORY」。今月はこのやり取りに代表されるような、”ザッツ・ババァ”の匂いがあちこちに溢れていました。若く若く! と言いながら、実はおばちゃんの安定感モロ出しな「STORY」、もしや来年は”本格派ババァ宣言”しちゃうのかも。とにもかくにも、目が離せない「STORY」でした。 (西澤千央) 『STORY (ストーリー) 2011年 02月号』 ねぇ、みんな~ホームズってちゃんと聞いてあげてー 【この記事を読んだ人はこんな記事も読んでます】 ・募金付き化粧品で平和を願う? 「STORY」美魔女がチャリティーを語る ・競合誌創刊で濃くなった、”若い自分”と男に夢中な「STORY」の世界 ・「STORY」で女子会祭り! 大黒摩季×藤原紀香「ソウルメイト女子会」の恐怖 最終更新:2010/12/30 11:45 次の記事 本当に使えるものをPick up♪ 2010年ヒットコスメ大賞! >