サイゾーウーマンカルチャー女性誌レビュー募金付き化粧品で平和を願う? 「STORY」美魔女がチャリティーを語る カルチャー [女性誌速攻レビュー]「STORY」1月号 募金付き化粧品で平和を願う? 「STORY」美魔女がチャリティーを語る 2010/12/03 16:00 女性誌速攻レビューSTORY 「STORY」2011年1月号(光文社) 今月の「STORY」は木村拓哉が表紙を飾っています。やれ「番宣だからって(TVに)出過ぎ」だの「なりふり構わずが見ていて辛い」だの、映画『SPACE BATTLESHIP ヤマト』は公開前から「大コケ必至」だの散々な言われよう。ですが、逆説的にはそれこそスターの証です。中途半端に大衆に媚びず、常に私たちが思い描く”キムタク”を体現する兄さんと、周囲からの風当たりをもろともせずに、年齢の壁に体当たりし続ける「STORY」は、小指の赤い糸どころか、へその緒も繋がってるんじゃないかと思える位の相性ではないでしょうか。いつにも増して楽しみな今月号を、さっそくチェックさせて頂きます。 <トピックス> ◎大特集 One Good a Day! ちょっとだけ人のため、そして自分のため ◎本気で守りたいものができたとき、女も男の強くなる ◎第二特集 1年でいちばんいい女になる、12月です! ■チャリティーだって美しく! みんな大好きキムタク兄さんのページの前に、今月のチャリティー大特集をご紹介します。40代女性向けという賭場を「GLOW」(宝島社)に荒らされてなるものか。そんな老舗「STORY」のカチコミ第一弾として、”チャリティー”をブッコんできましたよ! 先月号での甘糟りり子先生のご発言(ルブタンもチャリティーも贅沢な買い物)は、今月号への大いなるツカミだったわけです。 通常は付録ナシで800円という、かなり強気の価格設定を貫く「STORY」ですが、今月はチャリティー特別号として880円、そのうち80円がユニセフに寄付され、マダガスカルでの教育支援事業に役立てられるということです。表紙に燦然と輝く、「unicef」の青い文字。どんな宝石よりもブランド品よりも、女を特別なものに仕立て上げる魔法の言葉。オリーブの枝に囲まれた地球マークの向こう側には、アグネス・チャンが白いワンピースを着て、慈悲深い(?)笑顔を浮かべていますよ。 「チーム美魔女がユニセフをたずねました。私たちの80円で、マダガスカルの子どもたちを支援します」では、話題の美魔女たちが(財)ユニセフ協会へ出向き、その活動をレポートしています。しかし、発展途上国の子どもが運ぶ水瓶を持ち上げようとするも、ヒールが邪魔して腰が全く入らない様子。マラリアの原因となる蚊を防ぐ蚊帳も、美魔女がインすると天蓋つきベットに見えちゃう始末です。もしや、こういうツッコミを前提にして構成したのかとも勘ぐりたくなる内容に、美魔女はどこに行っても美魔女であるということだけ、再認識しました。 「これからは何かしたい、例えば募金の付いている化粧品を買うとか」「今日ここで見たことを、伝えて広めていきたい。私、早速ブログを更新しなきゃ」と語り合う美魔女たち。あぁ、なんだかんだ言っても日本は平和なんです。その他、”ちょっとだけ”人のために行動する美しい40代女性の記録や、チャリティーセレブのページ、チャリティー付ブランドグッズの紹介など、「美しい私たちのための慈善活動」という軸にブレなしのチャリティー特集でした。 ■「STORY」にキムタク降臨 さてさて、今月は腹もちのよさそうなメインディッシュが満載。「STORY」が「史上最高男子」と讃える木村拓哉御大の登場です。もちろん『ヤマト』がらみのインタビューではありますが、ここ最近の露出では最もリラックスして「ぶっちゃけ、俺」を語っているのではないでしょうか。対談相手は表紙モデルの富岡佳子41歳。 嘘か本当かは分かりませんが、「STORY」を「知ってます! もちろん、読んだこともありますよ」と兄さん。愛しのしーちゃん(工藤静香)の愛読書なのでしょうか。その後、40代女性の美しさについて、『ヤマト』のテーマである”愛”について、饒舌に語っています。 (女性に会ったとき、最初に目がいくのは)「目ん玉!目はその人のエネルギーやパワーを感じる場所。その次に見ちゃうのは、手かな。ネイルが1~2本はがれているのを見ると、仕事や家庭に一生懸命なんだろうなって、かえって好感が持てます」 (キレイになることばかりに依存するのに異を唱え)「エステを受けたとき、終わってすぐに鏡を見て肌をチェックするんじゃなくて、その気持ちよさやキレイになって上がった気持ちをエネルギーに変えて…」 (愛するこいうことに関して)「大切な人とはたとえ意見が合わなくてぶつかっているときでも、その存在自体が愛っていうと大きすぎるけど、全部ひっくるめて大切だなって思えますよね」 (チャリティーに関して)「例えば、自分の友達は、海から上がった後、どうでもいいことを話しながら、ゴミを拾うことが当たり前の流れになってるんだけど、そんなスマートさがカッコよさの基準に加わるといいなぁ」 これはほんの一部ですが、こうして眺めると「STORY」の持つ自己演技性と、キムタク兄さんのそれとが合致していることがお分かり頂けるのではないでしょうか。もちろん随所随所に「すげぇ」「がっつく」などキムタク的フランク日常会話も散りばめられ、読者の期待を裏切りません。「STORY」とキムタク兄さんには、これからもずっと”愛”とか”美”とか”海”とか、腹の膨れない壮大なテーマを語って頂きたいと切に願うのでありました。 チャリティー特集の後に、”1年間頑張った自分へご褒美”として高級ジュエリーやらブランドバッグやらふぐ料理などをこれでもかと羅列する「STORY」の正直さが、私は好きです。巻末に登場する、フジテレビの阿部知代アナウンサーを「バブルを引きずっている分かりやすいキャラクター」と一言で表現してしまう実直さも、好きです。 そんな”笑って許して”の空気漂う今月号の中、先月に引き続きまたもやユーミンの意味深広告が。今度は「STORY」の表紙になりきり駅広告で微笑むユーミン。これは何かの暗号ですか? このシリーズは今後も続きそうなので、こちらも注意深く見守りたいと思います。 (西澤千央) 「STORY」 まあ、一番の見所は阿部知代姐さんだし 【この記事を読んだ人はこんな記事も読んでます】 ・競合誌創刊で濃くなった、”若い自分”と男に夢中な「STORY」の世界 ・「STORY」で女子会祭り! 大黒摩季×藤原紀香「ソウルメイト女子会」の恐怖 ・“私のための歓迎会には艶ワンピで”、「STORY」による働く女性の夢物語 最終更新:2010/12/03 16:00 次の記事 出産はクリエイティブ! 子育てよりも出産賛美のスピ系主婦雑誌「nina’s」 >