カッコ悪いのに、なんでこんなにカッコいいの?

おやじが踊り、おやじが給仕する!「おやじカフェ」でおやじ再発見

2009/12/11 11:45
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「おやじが中で踊ってま~す」「おやじと踊れるまたとないチャンスですよ~」

 耳を疑うような陽気な呼び込みが聞こえてくる、池袋・東京芸術劇場前。「おやじが踊る? 何のために?」と疑問はわくものの、怖いモノ見たさで呼びこまれるままドームに足を踏み入れる。するとそこは、「おやじカフェ」という名のカフェだったのです!

 豊島・池袋エリアを中心に現在開催中の、トーキョー発、舞台芸術の祭典「フェスティバル/トーキョー(F/T)」、そのイベントの一つに設けられた「おやじカフェ」。ここは、公募で集まった自称「おやじ」(年令不問!)たちが店員となり、フードの給仕やパフォーマンスを披露するという、なんとも奇抜なカフェなんです。

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(左下)おや汁セット 700円(豚汁+炊き込みご飯)
(右下)最中 250円(おやじによる実演トッピング付き)


 春に続き今回で2回目の開催となったこの「おやじカフェ」を企画した、振付家・ダンサーの伊藤キムさんに、そのきっかけを伺ってみました。


「以前から、おやじで何かしたいと考えてはいたんです。おやじはダンスの世界から一番遠い存在。僕自身も、いわゆるサラリーマンとは生きている世界が違う気がしていて。だからこそ、一番遠いおやじたちと僕が組んだらミスマッチな感じがして面白いな、と思っていました。ただのパフォーマンスではなく、よりエンタテイメント性があって、お客様も楽しめる形式を考えたとき、カフェはいい形式でした」

 おやじとダンスとカフェ。まさに未知との遭遇! 店内にいるおやじたちも、本当にその辺りにいそうな風貌です。早速、飲み物とフードをオーダーすると、おやじたちが列をなして軽快なステップを踏みながら席までお届け! ピタサンド、おや汁(豚汁)、最中といったメニューにも、おやじの意見が反映されているとのこと。たしかに、最中は渋いッス! おやじというにはまだ若い、33歳のタカさんに「おやじにしては若くない?」と聞いてみると「おやじ見習いなんです!」と満面の笑顔。ここは、若者がおやじに憧れる空間なのです。

■サイゾーウーマン厳選のおやじはこの3名

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(左)ひらやまさんは、2回目のおやじカフェ参加。おやじの哀愁、ユーモアを体現する動きは必見。
(中)ふるきさんは、おやじカフェの中でトップクラスの人気おやじ。ダブルのスーツは自前です。
(右)しらがっちさんは、初参加とは思えないパフォーマンスをキメてくれます。ラメの蝶ネクタイが目印。


・ひらやまさん(平山茂樹)49歳 教員
・応募のきっかけ:ダンスを見に行ったら、『おやじカフェ』募集のチラシがあったので。
・自己アピール:指がきれいだと、おやじ仲間に褒められました。
・ご家族の反応は:家内は喜んでくれています。今日も来てくれました!
・メッセージ:先日腰を痛めたので、腰をかばいながらですが走ります!

・ふるきさん(古木健)48歳 
・応募のきっかけ:以前、キムさんの大道芸に飛び込み参加してから、パフォーマンスする側になってみたいと思っていたので。
・自己アピール:カラダ張ってます。
・ご家族の反応は:内緒にしてます。
・メッセージ:密着します。

・しらがっちさん 59歳 職人
・応募のきっかけ:2月で60歳になるので、還暦前の記念に。
・自己アピール: こんなに派手なおやじいないでしょ?
・ご家族の反応は:野放しにされてるので、きっと応援してくれてるんだと思います。
・メッセージ: 岡山の倉敷からきました! 

■飛ぶおやじ、地面を這うおやじ、こんなに楽しそうなおやじは初めて!

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おやじ=カッコ悪いはずなのに、カッコイイのはなぜ??


 おや汁セット(おや汁+炊き込みご飯、700円)を堪能していたら、なにやらおやじたちが独創的な動きをとりはじめ、そして沢田研二の曲が……。飛ぶおやじ、地面を這うおやじ、苦悶の表情を浮かべるおやじ、個々が自由に動いているように見え、全体として見事なパフォーマンスになっている。実に生き生きと、全身から楽しいオーラを出しながら動くおやじたちに、お客さんたちも飲み込まれ、いつしか会場が一体に……。こんな経験、初めてっ! 沢田研二以外にも、Perfume、光GENJI、西城秀樹、サントリーオールドの曲もあるそう。振り幅広すぎ!

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おやじにしか表現できない哀愁、ユーモアが絶品。


 とはいえ、ここにいるおやじたちも普段は仕事や家庭に生きている人たち。指導するのが大変だったのでは?

「最初の頃は、体も心も硬く思いっきりできなかったんですが、それも徐々にほぐれて、おやじの方からアイデアが出るようになったんです。これは僕も発見だったんですが、女性より遊び心がありますね。変なことをパッとできちゃう。簡単に自分を壊せちゃうんです。それに若い人より、年をとってる方の方がどんどんいっちゃうんです」(前同・伊藤キムさん)

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その他にもおやじがこんなに在籍中!


 おやじの愛嬌、おやじの癒やし力、おやじのダンディズム、これまで知らなかったおやじの数々の魅力に、すっかりハマってしまった私。一人で来ていた24歳の乙女はすでに4回も訪れているそう。「枯れ専じゃないんですけどね」と言いながらも、彼女も「おやじカフェ」の魅力にとりつかれてしまったのです。

「おやじたちも参加したことで、奥さんとの会話が増えたりと普段の生活にいい影響が出たらしいのです。これは、おやじが自己を再発見するためのカフェなので、そういう効果は嬉しいですね」と、キムさんが語るとおり、なによりおやじたちが楽しそうなのが印象的。おやじの笑顔に癒やされ、おやじの魅力を”再発見”できるこの「おやじカフェ」に、みなさんも足を運んでみては?  残る日程は、あと二日! 12月12、13日はおやじに会って!

伊藤キム(いとう・きむ)
振付家・ダンサー
伊藤キム公式ウェブサイト

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「おやじカフェ」
12月12(土)12:00〜22:00
13(日)12:00~20:30
*約30分おきに、パフォーマンスを披露
入場料:無料  *予約なしで自由に入場可。ただし、要ドリンク・フードのオーダー

【お問い合わせ】
フェスティバル/トーキョー実行委員会事務局
〒170-0001 東京都豊島区西巣鴨4-9-1
にしすがも創造舎 NPO法人アートネットワーク・ジャパン内
Tel:03-5961-5202  Fax:03-5961-5207
E-mail:toiawase@anj.or.jp
公式HP

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最終更新:2011/03/13 22:23