コラム
“中学受験”に見る親と子の姿

中学受験、「最低でもGMARCH」はウソだった――わが子を新設校に入れた母の後悔

2024/01/27 16:00
鳥居りんこ(受験カウンセラー、教育・子育てアドバイザー)

 早恵美さんに、当時を振り返ってもらいながら、今の心境を聞いてみた。

「由宇が高校生の時に聞いたんですよ。『入学前の約束が守られてない学校だと思わない?』って。そしたら、由宇が『たかが学校だもん。そんなもんでしょ? 学校に期待できないなら、自分に期待するしかないよね』と答えたので、びっくりしました。由宇のほうが、いつの間にか大人になってたんですね。人生、思うようにならなくても、何かは得ているってことかもしれません」

 人生は、たとえ希望通りの進路に進んでも、実際にその場所で過ごしてみないとわからないことだらけだろう。中学受験でも、親御さんはさまざまなことを熟考して、わが子を学校に送り出すのであるが、現実問題として、その学校が合っていたのかどうかの判断は卒業後。運よく志望校に受かったとしても、途中、何があるかはわからないものだ。

 しかし、「なんだかうまくいかないな」と思った時は、由宇さんのように「たかが学校」と気持ちを切り替えるのもありだと思う。

 J学園を卒業した由宇さんはある大学の薬学部に入学し、現在、薬剤師として活躍中とのこと。聞けば、小学生の頃から、「くすりやさん」に憧れていたのだそうだ。由宇さんの「自分に期待するしかない」という思いは、見事結実したといえるだろう。



鳥居りんこ(受験カウンセラー、教育・子育てアドバイザー)

エッセイスト、教育・子育てアドバイザー、受験カウンセラー、介護アドバイザー。我が子と二人三脚で中学受験に挑んだ実体験をもとにした『偏差値30からの中学受験シリーズ』(学研)などで知られ、長年、中学受験の取材し続けている。その他、子育て、夫婦関係、介護など、特に女性を悩ませる問題について執筆活動を展開。

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湘南オバちゃんクラブ

最終更新:2024/01/27 19:53
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