サイゾーウーマンコラム“中学受験”に見る親と子の姿1月受験に失敗した中学受験生の母 コラム “中学受験”に見る親と子の姿 中学受験、もしお試しの1月校に不合格だったら……経験者が語る「悪夢」のその後 2024/01/10 16:00 鳥居りんこ(受験カウンセラー、教育・子育てアドバイザー) コラム 塾の先生が息子にかけた“魔法”の言葉 たこ太を塾に送り出した後、「室長は、息子にどうやって不合格を伝えるつもりだろう……」と途方に暮れていたが、塾終了後、息子に話を聞くと、こんな意外な言葉で励ましてくれたそうだ。 「おめでとう! 良かった、良かった!」 私は驚いて、その真意を室長に確認した。 「お母さん、僕は授業終了後にたこ太を呼び出して、『たこ太、1月校、残念な結果になったぞ』と伝えました。たこ太は、一瞬だけハッとした顔をしましたけど、僕はその瞬間、間髪入れずに言ったんです。『たこ太、オマエ、良かったな~!』って」 不合格を祝福されるとは夢にも思っていなかったので、それが事実と知って、私はさらに驚いた。室長は続けた。 「たこ太が不合格だったのは、本番の雰囲気に呑まれただけのことです。たこ太の実力がこんなもんじゃないことは、ずっと勉強を教えてきた僕が一番よく知っていますよ。たこ太にもそのことは伝えました」 なんでも室長は、たこ太に、「これが受験の怖さである」ということを伝えてくれたそうだ。その上で、「でも、オマエは予行演習を終わらせた。本番はもう大丈夫だ。オマエは1月校に行きたかったか? そうじゃないだろう? 行かない学校はどうでもいい。いや、むしろ落としてくれて礼を言いたいくらいだ。たこ太、これはいい練習だった。オマエはオマエの第1志望に、自分の力で行け! オマエなら必ず行ける。これは俺が保証しているんだ、わかるな?」と激励してくれたという。 ここまで話を聞いた私は、胸が潰れそうになったが、室長はもう一押しとばかりに、「たこ太、もう一つだけ言っておく。お試しに落ちたヤツは本番に必ず受かる。俺がおめでとうって言う意味、わかるな? ラスト2週間だ。俺はオマエを信じている」と発破をかけ、最後に「必ず勝って来い!」と背中を押してくれたそうだ。 それから、その教室の先生方全員が、たこ太に、次々と握手を求めてくれたらしい。「そうか! 落ちたか!? そりゃ良い知らせの前触れだ。最後に笑うのはお試しで落ちたヤツだからな!」と励ましてくれ、誰一人として、悲観的なことは言わなかったという。 私は、こういった塾の先生たちの対応を「魔法」だと感じた。魔法にかけられたたこ太は、結局、2月の本番で第1志望校に合格した。 これを読んでいる読者の中に、もしかしたら今、当時の私と同じ状況に追い込まれている人がいるかもしれない。「毅然としなければ」と思っても、うろたえてしまうのが中学受験生の親というものだ。ならば、今度は私が、そんな親御さんたちに魔法をかけたいと思う。 「お試しに落ちた子が最後に笑う!」 中学受験、余裕の「1月校」でまさかの不合格、「終わった」から挽回できる?“親子の受験”といわれる中学受験。思春期に差し掛かった子どもと親が二人三脚で挑む受験は、さまざまなすったもんだもあり、一筋縄ではいかないらしい。中学受験から見えてくる親子関...サイゾーウーマン2022.01.09 前のページ123 鳥居りんこ(受験カウンセラー、教育・子育てアドバイザー) エッセイスト、教育・子育てアドバイザー、受験カウンセラー、介護アドバイザー。我が子と二人三脚で中学受験に挑んだ実体験をもとにした『偏差値30からの中学受験シリーズ』(学研)などで知られ、長年、中学受験の取材し続けている。その他、子育て、夫婦関係、介護など、特に女性を悩ませる問題について執筆活動を展開。 記事一覧 湘南オバちゃんクラブ 最終更新:2024/01/10 16:00 すべての中学受験生親子が納得いく結果を得られますように 関連記事 中学受験ミラクル合格――「持ち偏差値から15上」の鉄緑会指定校で、息子が腐らなかったワケ中学受験で全校合格、しかしすぐ不登校に……「半狂乱になった」心配性の母親の告白「ボリュゾ」の中学受験はなぜ大変? 「絶望しかなかった」平均偏差値49の母の実体験中学受験、国語の長文問題を投げ出す「精神年齢が低い息子」が覚醒したワケ中学受験、小6秋の模試で「合格率20%以下」――「親が第1志望校を変更」の過去を引きずる28歳女性 次の記事 スシロー×TOBEコラボ最速レビュー >