少年刑務所で「交換日記」、障害者専門施設も――刑務所が進化しているワケ
覚醒剤の使用や密売などで逮捕起訴され、通算12年を塀の中で過ごした後、その経験を基にさまざまな活動を続ける瑠壬(るみ)さんが、女子刑務所の実態を語る「知られざる女子刑務所ライフ」シリーズ。
少子高齢化で少年院や少年刑務所が減少
11月24日に瑠壬の母校「岩国刑務所」で、刑務所のアイドル・Paix2(ペペ)のコンサートが開催されたそうです。
瑠壬も昔はステージを見る立場でしたから、懐かしいです。Paix2の北尾真奈美さんは、インスタで「(収容者の)平均の年齢層が高くなってる気がしました」と書かれていました。ですよねー。
ムショもシャバも少子高齢化が進んでますが、「悪い子」やなくて「子ども」が減ってますから、ネンショー(少年院)やショーケイ(少年刑務所)は、どんどんなくなってます。
受刑者と刑務官が交換日記
でも、パクられる(逮捕される)人はゼロにはなりませんし、刑務所では新しい取り組みも増えてるようです。
たとえば埼玉県の川越少年刑務所は、懲役(受刑者)一人ずつに「担任」が決められて、交換日記とかをしているとか。
ネンショーとショーケイでは、刑務官は「教官」という学校の先生的な立場です。普通は「何十人かの懲役」を「何人かの教官」がまとめて指導するんですが、川越は一人ひとりに向き合う感じらしいです。
交換日記……。皆さんはしたことあります? 編集者さんは「中学生の時に女の子同士でしてた」そうです。なんかかわいいですね。
もちろんショーケイは、そんなかわいいもんではなく、事件に向き合うやつです。事件の時の気持ちとかを思い出しながら書いて、それを読んだ教官が「自分がどう思ったかも大事だけど、被害者はどう思ったかを考えて」などと返し、それを受けてまた書くみたいです。
事件を起こす子はだいたい寂しくて、大人に「いい感情」を持ってへんのですが、ちゃんと話を聞いてあげれば心を開くこともあります。最初はお天気とかしか書けなくても、少しずつ自分に向き合えていくんですね。
学校に行けてなくて、字もちゃんと書けない子も多いから、交換日記はとてもいいと思います。瑠壬も交換日記したくなりました。
あと、山口刑務所は、被害者や被害者遺族から刑務官が聞き取りする「相談室」を作ったそうです。
刑務官は聞き取り内容をまとめて懲役に渡すんですが、被害者が希望すれば、刑務官が読み聞かせた時の加害者の「反応」も教えてくれるとか。反応次第では微妙な気もしますが、大事なことですね。
事件は消せませんから、しっかり向き合って反省してほしいです。
懲役は「わかりやすい不良」だけじゃない
読み書きができないだけやなくて、発達障害とか知的障害とかがあって事件を起こしてしまう人もいてます。うまく話せないから、ついカッとなって暴力を振るうとか、判断能力が低くて騙されて犯罪を手伝わされるとか、結構あるんです。
「わかりやすい不良」と違うから、普通のムショで更生は難しいなと思うてました。朝起きてすぐシーツを手早くきちんと畳むとか、できないことも多くて、見ててお気の毒でした。瑠壬はなるべく手伝ってましたよ。
法務省でも、こういう人たちの処遇は問題になってたんですね。発達障害や知的障害、情緒障害などがある26歳未満の男性の懲役が収容される「日本初」の施設「市原青年矯正センター」(千葉県市原市)ができたとのこと。
閉鎖になった少年院を改修したそうで、刑務作業もしますが、社会復帰支援が目的やから、「社会生活に必要な生活習慣や対人関係などを習得させるための指導」を行うそうです。そして全員個室です。
瑠壬がおつとめしてた頃は、どこのムショも定員オーバーでしたから、先生(刑務官をこう呼んでました)は忙しすぎて矯正教育どころやない感じでした。変われば変わるもんですね。
いろんな支援があれば、「ムショ帰り」も生きやすい社会にできると思います。