元「レタスクラブ」編集長に聞く

マネーの専門家に聞いた、食品が安い「ドラッグストア」3店「ECサイト」2店! 

2023/11/12 18:00
松崎のり子(消費経済ジャーナリスト)
写真ACより

 物価高騰で家計の負担が重くなる中、イオンは11月6日から順次、全国の「イオン」「イオンスタイル」「マックスバリュ」など約1万店舗で、パンやミックスチーズなど合計31品目の増量キャンペーンを数量・期間限定で開始したという。

 例えば「トップバリュベストプライス カスタードクリームパン」(税込138.24円)は通常5個を6個に増量。ほかに、「トップバリュベストプライス とろけるミックスチーズ(チェダー&モッツァレラ)」(税込419.04円)は、通常200gを220gに増量する。期間は14日まで。(※店舗により販売価格が異なる場合がある。税込価格は、単品で購入した場合、少数以下は切り捨て)

 こうしたキャンペーンも生活の助けになる一方、普段の買い物をする中で無理なく節約ができれば心強い。そこで、雑誌「レタスクラブ」(KADOKAWA)元副編集長で、消費者に役立つお金の情報を発信している消費経済ジャーナリストの松崎のり子氏に「どこで何を買うと安いのか?」話しを聞いた記事を再掲する。

※2022年10月20日公開の記事を再編集しています。
※情報は22年10月時点のものです。


 物価の高騰に歯止めがかからない昨今、特に食品は多くの品目が値上がりしており、各家庭の食卓に大きな影響を与えていることだろう。これまで「安い」の代名詞だったスーパーのプライベートブランドまでもが、続々と値上げを発表しているとあって、我々は“節約の常識”を見直す必要がありそうだ。


 そこで今回、『定年後でもちゃっかり増えるお金術』(講談社)などの著書を持つ消費経済ジャーナリストの松崎のり子氏に、物価高騰の今、スーパーやドラッグストアといった「売り場」が以前とどう変化したのかをインタビュー。どこで何を買うと安くなるのか、食費を抑える意外な“節約の極意”も教えてもらった。

イオン「トップバリュ」も値上がり――スーパーはもう安くない! 今、専門家は食品をどこで買う?の画像1
写真ACより

生鮮食品が安いのは近所の八百屋や小さなスーパー?

――食品を中心に値上がりが続く今、スーパーの商品も価格が変化しているように感じます。現在の「売り場」は、どのような状況なのでしょうか?

松崎のり子氏(以下、松崎) 大手スーパーの場合、「お店がメーカーの値上げを食い止めている」という状況にあります。メーカーの希望通りに値上げしてしまうと、お客さんの買い控えにつながり、お店側は売り上げが立たないため、メーカー側が小売価格を上げても、店頭価格は据え置きにしているというわけです。

 私がスーパーの方にお話を聞いた時は、昨今の値上げラッシュに合わせて、「よく売れるものは値上げをして、そんなに売れてないものは値段を据え置きする動きがあるようだ」と言っていました。そうやって、お店側は価格のバランスを取っているのかもしれません。

 なので、いま売り場では、以前からほかの商品より少し高めで売られていたもののほうが、実はあまり値上がりしていないという現象が起こっているようです。とはいえ、今まで手頃に買えていたものが値上がりしているのも確かなので、消費者にとって苦しいことには変わりがないともいえます。


――「手頃な商品が値上がりしている」となると、大手スーパーなどのプライベートブランド(以下、PB)にも影響が出てくるのでしょうか?

松崎 例えば、大手スーパーのイオングループは、まだそこまでPB「トップバリュ」の値上げをしていません。しかし、メーカーから仕入れているナショナルブランド(以下、NB)商品の価格と差が開いてしまうと、PBばかりが売れてしまい、NBが売れなくなってしまう。それもそれで、お店側としては困ってしまいますよね。

 トップバリュは、今のところマヨネーズ、カップ麺、ティッシュペーパーの3品目だけ値上げを発表していますが、NBと価格の差が開きすぎないように、今後は値上げをして調整する可能性もあるかと思います。また、PBの材料も当然価格が上がっているので、どこまでお店側が踏ん張れるかというのは、これから注視しなくてはいけないポイントではないでしょうか。

――「値上げ」と言っても、スーパーによって価格には大きな違いが出てきそうですね。

松崎 そうですね。そんな中で狙い目なのは、農家さんと直接取引をしているとか、お魚に強いといった“特徴”があるスーパー。特有の仕入れ先を確保している地場スーパーのほうが、大手スーパーよりも値上げの影響を受けにくいと思われます。

 特に生鮮食品は、大手スーパーよりも街の八百屋さんやお魚屋さん、地域密着型の小さなスーパーのほうが安いことも。店員さんがちょっとおまけしてくれる、なんてこともあるかもしれないので、近所にそういったお店があるなら、足を運んでみるのをおすすめします。

100円ショップでお得に買える商品3つ

――スーパー以外に、「100円ショップ」「ドラッグストア」でも安く食品が買えますが、それぞれこの値上がりでどんな変化があったのか教えてください。まず「100円ショップ」から。

松崎 100円ショップでは、値段は変えずに内容量を減らす“ステルス値上げ”が起こっています。最近、100円ショップでも200円や300円の商品が売られていますが、食品は基本的に、一律100円を崩したくないようで、量を減らさざるを得ないわけです。

――100円ショップで食品を買うのは避けたほうがよいということでしょうか?

松崎 いいえ、そんなことはありません。例えば、スーパーと100円ショップで同じ商品が売られている場合、以前はスーパーのほうが安いケースが多かったんですが、今は値上げにより、そうとは言い切れなくなりました。場合によっては「100円ショップで食品を買っても悪くない状況」だといえるでしょう。

――100円ショップでお買い得な食品はなんですか?

松崎 1人暮らしの方は、調味料が便利だと思います。スーパーでファミリーサイズのものを買っても、使いきれなくて困る……なんて時に、100円ショップで小さいサイズの商品を買うという選択は、結構アリじゃないでしょうか。

 また、お菓子類は種類が豊富なうえに、スーパーの商品と内容料や価格に大きな差がないことが多いです。また、ペットボトル飲料なんかも、最近2本で100円の商品が売っていることもあり、結構お得に買える可能性がありますよ。