「ボリュゾ」の中学受験はなぜ大変? 「絶望しかなかった」平均偏差値49の母の実体験
「明奈の性格を考えると、本命校受験の前には、やはりお守り的に『合格』は必要だと思いました。明奈に実際に見学させる時間はなかったのですが、1月は偏差値43校を受けたんです。もし、どこにも受からない場合でも通わせるつもりで、『絶対に明奈に合っている!』と半ば強引に自分に言い聞かせた学校でしたが、無事に特待合格をいただきました。明奈にとっては、偏差値43ではありますが、『特待合格』ということで、大きな自信になったと思います」
1月校の結果次第で、2月以降の受験校が変わってしまうので、美穂さんは「内心ドキドキだった」そうだが、合格の文字を見た時は心底、ホッとしたそうだ。
「『これで、2月は強気に攻めることができる!』って、何か変な力が湧いてきたんですよね。明奈には『本命の偏差値58校は2回とも受験しよう、思い切りぶつかっておいで!』と伝え、明るく送り出すことができました」
2月1日から始まった東京入試では、本命校である偏差値58校をまず受験。午後は偏差値44校を受験し、当日発表で合格を確認。気を良くしたまま2月2日は、過去問との相性が抜群に良かった偏差値56校を受験したそうだ。
そして、明奈さんは本命の偏差値58校に見事合格。2月2日に受けた学校にも合格し、4戦4勝という結果で中学受験を終えたという。
「『ボリュゾ』の子たちの受験は本当に水物です。明奈は受かり続けるか、落ち続けるかの2択になりかねないと思っていたので、冷や冷やしていました。これから受験する人たちに何かアドバイスをするとしたら、親が『持ち偏差値より低くても通わせたい学校』をしっかり見極めた上で、受験日程の戦略を練るべきだということです。『合格というお守り』を用意してあげることは本当に大事。明奈はそれで、安心して本命校に臨めたのだと思います」
美穂さんが言うように、入試というものは、一度波に乗ると、今まで乗れたことなどない波をスイスイと乗りこなせるかのように、うまくいく場合がある。
中学入試は短期決戦であること、受験生は小学生ということを考えると、我が子の性格を熟知した親の戦略がモノを言う世界。特に「ボリュゾ」の子の親はそこによりいっそう力を入れなければならないだろう。そういう意味で、美穂さんの例は成功パターンといえるだろう。
今、明奈さんは「レポートの宿題が多くて大変!」とこぼしながらも、元気に学校生活を謳歌しているという。