中学受験、小6秋の模試で「合格率20%以下」――「親が第1志望校を変更」の過去を引きずる28歳女性
中学受験にはメリットがたくさんある一方、もちろん、弊害もある。親が中学受験を通して、子どもの人生を乗っ取ってしまうことが珍しくないのだ。筆者はそれを“最悪な受験”だと感じている。
それでも、子どもの中学入学と同時に、ロケットが分離するように、親が子離れできればよいのだが、中学受験を経て、子どもの人生を乗っ取り、「2度目の人生を生きる」ことに味を占めてしまう者もいるのが実情だ。そういった親は、亜衣さんの親のように、いつまでも子どもからくっついて離れず、息子や娘の意思決定権を奪いがち。しかも、その多くは無自覚なので、余計に始末が悪いのだ。
人生は、自分の選択で生きるもの。志望校の判断もその一つだ。子どもの「この学校を受験したい」という意思は尊重されるべきものだと考える。たとえ「記念受験」と揶揄され、不合格になったとしても、子どもは「めげずに目標にトライしたこと」そして「頑張ったけれど、思いが通じなかったこと」という“人生経験”を獲得できる。長い目で見れば、これこそが、中学受験における子どもへの“ギフト”になるはずだ。
第1志望校への合格が危うい時、親がすべきなのは、我が子が転ぶであろうことを前提として、そのケガが最小限で済むように、第2志望校以下の受験戦略を固めておくことだろう。親の仕事は、子どもの夢は夢として大切に応援しながらも、実力相応校で、しかも、子どもの長所が伸びていくような環境を見つけることに腐心することだ。
これまで、たくさんの中学受験経験者の話を聞かせてもらってきたが、亜衣さんのように、成人してから、中学受験を振り返って、自身の人生を見つめ直す人は多い。その時に、「親は自分の意思を尊重してくれた」と思えるかどうかは、これから先の人生を左右する重大事項であると痛感している。
今現在の亜衣さんは「何をしても自分に跳ね返ってくる。責任も自由も全部、自分」という毎日に、とても満足しているそうだ。