中学受験で変わってしまった中1の孫――「Fラン大」「低偏差値」発言にショック!
子育てに祖父母の口出しは無用なご時世。息子一家に忠言できず、心の中で悶々としている有美子さんの心情は理解できる。
「久しぶりに会った紗良の価値観が、すべて“数字”に支配されている……というと言いすぎかもしれませんが、いろんなことを偏差値に換算している気がするんです。近頃は、『顔面偏差値』って言葉があるんですか? 顔が可愛いほうが勝ちなんだそうです。もちろん、お金を持っているほうが勝ちだし、難関校に通っているほうが勝ちって考え方をしていて……そういった現実は確かにあるかもしれませんが、その基準で世の中や友達を判断したり、ましてや、見下すなんてことは、紗良を不幸にするような気がして、ハラハラしてしまいます」
有美子さん自身の子育て環境は、中学受験がスタンダードな地域ではなかったそう。息子も娘も中学受験はせず、公立中学から私立高校、早慶上智クラスの大学へと進学した。
「うちの子どもたちは、勝手に自分で進学先を決めたようなものなので、お受験のことは、私には正直、よくわかりません。お嫁さんや娘が『お母さん、今はこうなのよ』というのを『そうなのね~』と聞いているだけで……。でも、うまく言えないですが、変わってしまった紗良を見ると、中学受験って本当にいいものなのかな? という気はしています」
思春期は“承認欲求”が異様に高まるお年頃。紗良ちゃんの本当の気持ちは、有美子さんの話だけではわからない。身近な人にマウントを仕掛けて、自分をより高く見せなければ、逆に立っていられない感覚になる子もいる。
特に中学受験組の中には「偏差値が高ければ勝ち組で、偏差値が低ければ負け組」と思っている子も実際、多く存在している。とりわけ、親が偏差値に振り回されてしまうご家庭の子は注意が必要だ。
人生経験が少なく、社会全体を見渡す機会が限られる子どもたちには、親の価値観がそのままストレートに入ってきてしまうからだ。
よく「子育ては横軸ではなく、縦軸で見よ」と言われる。他人との比較ではなく、その子自身の成長軸を比べなさいという意味であるが、中学受験でもこの言葉はとても大切。
親自身が「受験を通して、子どもをどう成長させたいのか?」ということを真剣に考え、時々は「数字ばかりに踊らされていないか?」と振り返る――有美子さんの話は、その必要性をあらためて痛感させられた。