「元極妻」芳子姐さんのつぶやき159

ヤクザが「ETCパソカ使わせないのは違法」と国を提訴! 元極妻が「世知辛い」と語るワケ

2023/06/04 17:00
待田芳子(作家)
ヤクザが「ETCパソカ使わせないのは違法」と国を提訴! 元極妻が「世知辛い」と語るワケ
写真ACより

今は亡き某指定組織の三次団体幹部の妻だった、待田芳子姐さんが語る極妻の暮らし、ヤクザの実態――。

「ETCパソカを使わせないのは違法」とヤクザが提訴

 以前から注目していたヤクザのETCパーソナルカード(パソカ)の使用禁止問題について、5月17日にヤクザが名古屋地裁に提訴したことが報道されましたね。

 「朝日新聞」によると、訴えたのは六代目山口組傘下組織の50代の組幹部の方だそうです。「六代目山口組」ではなく、あくまでも「傘下組織」なんですね。これはかなり珍しいと思います。

 この組幹部氏は、国とNEXCO東日本など6社に対して、パソカを使わせないのは違法として、「会員資格の取り消し無効」の確認と、精神的苦痛の損害賠償として143万円を請求したそうです。パソカが使用できないことで事実上高速道路が使えなくなること、公共性の高いインフラから「暴力団」を排除するのは不合理な差別であることが「公序良俗に反する」としています。

 話はそれますが、こういう報道で毎回おかしいなーと思うのは、被告側のコメントですね。「NEXCO東日本の広報担当者」さんは「訴状が届いておらず、コメントは控える」としたそうですが、こういうコメントをされた方が、訴状が届いてからコメントされたことはあったのでしょうか。


 その点、「国土交通省高速道路課の担当者」さんは「とくにコメントはない」としていて、ある意味潔いですね。「お役人としては正しい態度」だと思いました。褒めてはいないです。

「高速を車で走るのに、やましいことは何もしていない。身分を偽るウソをつくような『ヘタうち』もしていない。それでも暴力団員であることだけを理由にETCを使わせないというなら、徹底的に争うことになる」

 昨年の12月7日付の「朝日新聞」は、現役ヤクザの「闘争宣言」を紹介していて、国賠(国家賠償訴訟)だなと思っていました。過剰な暴力団排除がまかり通る中での法廷闘争となるでしょうから、とても興味があります。

代理人弁護士は弁護士が選ぶ弁護士5位!

 また代理人の弁護士さんがすごいんですよね。「弁護士が選ぶ弁護士ランキング」の刑事部門5位の金岡繁裕先生だそうです。

 先生はブログで、最近のヤクザの微罪逮捕は「やり過ぎというか、馬鹿げている」としていて、「所属する団体の属性や、来し方行く末の違いで、人権保障に差があってはならない。そのこと自体に異論はないはずであり、この種の事案の、弁護士層の受け皿が限られ(限られているから、うちに持ち込まれるわけである)、受け皿が限られるが故に被害者が司法救済を求める声を上げづらくなる、という悪循環共々、上記のような行きすぎを抑止することが、弁護士の職責であろう」と書かれています。


 「行きすぎを抑止することが、弁護士の職責」とおっしゃるまっとうな弁護士さんがなぜ少ないのか、というのも含めて、いろんな議論が出てくるといいですね。

他人名義のETCカードで280円騙し取って逮捕

 ちなみに以前も書いてますが、「パソカ」は銀行口座から高速道路の利用料を引き落とすサービスで、保証金を納めて登録すればクレジットカードがなくても使えます。前は暴排条項もありませんでした(今はあるそうです)。これに対して、クレカ決済の「ETCカード」は暴排条項があるのでヤクザは使えないんですよ。

 提訴当日の5月17日には「他人名義のETCカードを使い、高速道路を割引料金で走行した」として「暴力団関係者」の逮捕も報じられています。

 ちなみにインチキした割引料金は「280円」だそうで、まあ日常的に使っていれば結構な額にはなるんでしょうけど、今回はあくまで「280円」です。この一件のために、どれだけの税金が使われるのでしょうか?

 去年は似たような事件が不起訴となりましたが、今回は起訴されるようです。個人的には「世知辛いなあ」という感想しかないです。

待田芳子(作家)

待田芳子(作家)

今は亡き某指定組織の三次団体幹部の妻。夫とは死別。本名・出身地もろもろ非公開。自他共に認める癒やし系。著書に『極姐2.0 旦那の真珠は痛いだけ』(徳間書店)がある。

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最終更新:2023/06/04 17:00
極姐2.0 ダンナの真珠は痛いだけ/待田芳子(著者)