中学受験組のストレスが招く「学級崩壊」の実態――小6母が明かす、いじめと担任の休職
「その頃には、もはや授業が成立しないような状態でした。先生が、問題の説明しようとしても、Mちゃんが『知ってる!』『わかんないヤツはバカ』みたいなことを言い出し、授業を妨害するんだそうです。便乗してはやし立てる子も出る始末で、娘も『授業にならない』と嘆いていました」
担任の先生はベテラン教師だというが、中学受験をする子たちへの“苦手意識”があるらしく、6年で担任を受け持った時点から、彼・彼女らを“迷惑な存在”という具合に扱っていたとのこと。その空気を敏感に感じ取ったMちゃんは、先生に反発。加えて、塾内の成績が上がらないというストレスが、Sちゃんへの“いじめ”や授業妨害という形で暴発してしまったようなのだ。
さすがに親たちも、学級崩壊状態を心配し、緊急保護者会を開いたそうだが、その前日から担任が休職。肝心のMちゃんの親御さんは保護者会を欠席した。貴子さんいわく、「なんとも無意味な保護者会だった」という。
「Mちゃんは困った子ですが、同時にかわいそうな気もします。ご両親は仕事でお忙しいらしく、Mちゃんは幼い頃から、習い事と塾でスケジュールがパンパン、放課後の遊びの輪にも加われない子として有名だったからです。お母さんはよくいえば、教育熱心。悪くいえば、教育産業に子育てを外注。Mちゃんは、寂しかったんじゃないかなぁって思ってしまいます」
そんな中、Mちゃんをはじめとした中学受験組はみな合格を果たし、新天地である中高一貫校に入学するらしい。
「それぞれのご家庭の判断だから、中学受験がいいとか悪いとかは言えないですが、Mちゃんたち中受組を見ていたら、我が家は『受験ナシ』にしてよかったと思っています。うちの子は小学校の6年間、目一杯遊んで、“子ども時間”を楽しんでいましたから(笑)。娘は、春から地元の中学に行きますが、仲の良い幼なじみたちとも一緒なので、心強いんじゃないかな。その代わり、高校受験がありますけど、ほとんど全員が受ける受験なので、皆と一緒に乗り越えられるはずって期待しています」
貴子さんはそう言いながら、「卒業を祝う会」で出す紅白饅頭の発注数に頭を悩ませているようだった。
中学受験の取材をしていると、中学受験組のストレスがいじめを誘発したり、学級崩壊を招いたりするケースを多く耳にする。
中学受験は、子どもがストレスフルな状況に置かれやすいということは事実。ゆえに親は、より一層、注意深く、我が子の様子を観察していなければならないと思う。
中学受験は親が主導する受験である。我が子の心身の健康を守ることができるのも、また親しかいないということを肝に銘じてほしいものだ。