コラム
私は元闇金おばさん
「闇金王国」はどのように最期を迎えたか? 金に執着した社長の情けない姿
2023/03/04 16:00
結局、その不安は的中することになり、件の2人は、すべてを社長の責任にして執行猶予付きの判決を勝ち取りました。主犯として扱われ、ただ一人だけ実刑判決となった社長には、懲役4年の判決が下されてしまいます。
即日に控訴保釈され、実刑判決を免れるべく新旧の債務者に和解金を提示した社長は、積極的に和解書を集めて証拠申請する作戦で対抗しました。大いに反省して、これまでの不当利得分を返したのだから、刑務所行きだけは勘弁してくれという主張です。返金総額は、合計で2000万円ほど。
お金に執着して、ひどい取り立てをしてきた人が、刑務所行きを恐れて返金する姿は情けなく、社長に対する気持ちは日を追うごとに薄れていきました。
「被告人を懲役3年に処する。ただし、その執行を5年間猶予する」
控訴審で、念願の執行猶予判決を得た社長は、これを機に廃業することを決めました。もはや片手間でできるくらいの仕事しか残っておらず、これ以上続けてもリスクしかないと判断したそうです。これからは不動産の賃貸収入で細々とやっていくと、毒気の抜けた顔で話していましたが、それ以後のことはわかりません。
愛子さんと私には、給料3カ月分の退職金が支給され、至極円満に退社することになりました。その後、都内の不動産業者に就職した私は、そこで出会ったふた回り年上でバツイチの役員と結婚して、現在は幸せに暮らしております。
※本記事は、事実を元に再構成しています
(著=るり子、監修=伊東ゆう)
最終更新:2023/03/04 16:00