コラム
“中学受験”に見る親と子の姿
中学受験「第1志望校の不合格」を我が子にどう伝えるか? 合否発表でパニックになった母は、塾に電話を……
2023/01/28 16:00
無事に入試後の歩夢君と落ち合えた麻衣子さんは、努めてあっけらかんと、こう言ったそうだ。
「歩夢、昨日のA中、ダメだったよ!」
「マジかよ……」と言ったきり、黙り込んだ歩夢君。そのまま、2人横並びで駅までの道をゆっくりと歩き出したという。
「歩夢、泣いてもいいよ!」
「泣くかよ……」
「そっか、勝負はまだ終わってないもんね?」
「……」
駅舎が見えてきた頃、麻衣子さんは歩夢君に、
「これからC中に(受験しに)行く? それとも帰って、明日のA中2回目入試の対策する?」
と話しかけたという。すると歩夢君はボソッと、
「(C中を)受けに行くしかねえだろ」
とつぶやき、親子はC中学に向かったそうだ。
当日の夜発表で出されたC中学の結果は合格。翌日、歩夢君はA中学の2回目入試を受け、受験日程はそこで終了した。
A中学から出てきた歩夢君は、麻衣子さんに晴れやかな顔で、
「今の俺にできることは全部(解答用紙に)ぶつけてきた。やるだけやったと思う」
と伝えたそうだ。
A中学の2回目入試の結果は合格。歩夢君は見事、リベンジを果たしたのである。後日、麻衣子さんは歩夢君に、A中学を落ちた後、そのままC中学の午後入試に向かうと決めた理由を聞いてみたという。