コラム
私は元闇金おばさん
玄関に並べられた「夫婦の遺骨」――闇金社員が走って逃げ出した“恐怖の現場”
2023/01/07 16:00
「いま、保証人さんに会えました。聞いたところ、先週、2人が自宅の風呂場で首を吊っていたのを、息子が見つけたみたいです。本人が保証しているのは、ウチともう一社だけみたいで、昨日、そこは完済したと話しています」
「そいつ、いくら持っているの?」
「すぐには用意できないみたいですけど、カードで借りられるし、車を売って作ることもできると話しています。車は、3年落ちのクラウンですね」
「ATMに行かせて、足りなかったらカード割だな。連絡しておくから、春田のところで率のいいものを買って、換金してもらえ」
主に、中古時計やブランド物の買取販売を行う春田さんは、質屋も営む社長の仲間で「カード割」もやっていました。実際には買っていない商品を買ったことにしてクレジットカードを切らせて、手数料を引いた代金を手渡す商売です。
売ったことにした商品は、別の日に買い取ったことにして、商品棚に戻します。例えば、保証人が100万円の時計をカードで買ったことにして、春田さんは手数料20万円を引いた80万円をうちの社長に手渡しします。その後、春田さんはその時計を買い取ったことにして、再度100万円で売り出すわけです。
その80万円が、債権回収に充てられるわけで、体よくカード会社に現金化させる仕組みになっていました。このように二重の利益が生まれる仕組みを知った時には、とても理にかなった儲け方だと、金融屋さんの思いつく悪知恵に感心したものです。