サイゾーウーマン芸能テレビドラマレビュー小栗旬、悪戦苦闘した過去と現在 芸能 ドラマ俳優クロニクル 小栗旬、『鎌倉殿』北条義時は今だからこそ演じられる役――脱イケメン俳優に悪戦苦闘した過去と現在 2022/12/24 18:00 成馬零一 テレビ男性タレント 小栗旬、イケメン俳優から脱却するため…… 小栗も山田も、00年代のイケメン俳優ブームに乗って頭角を現した俳優だが、プライムタイムの民放ドラマで主演を果たす立場になってからは、「自分はこのままでいいのだろうか?」という迷いが生じ、あえて個性的な役を演じることで、若手イケメン俳優から脱却を図ろうとしていた。 その結果、山田は『闇金ウシジマくん』シリーズ(10年・14年・16年/TBS・MBS系)や『全裸監督』シリーズ(19年・21年/Netflix)で脱イケメン俳優化し、ドラマや映画の制作に積極的に関わるようになっていく。 一方、小栗も監督を務めた映画『シュアリー・サムデイ』(10年)や、鈴木亮平が主演を務めた福田雄一監督の映画『HK 変態仮面』(13年)の脚本協力など、若手俳優をフックアップする日本のエンタメ業界のオピニオンリーダー的存在へと変わっていった。 だが、自身の俳優業は山田とは違い、12年のドラマ『リッチマン、プアウーマン』(フジテレビ系)でITベンチャー企業の若手カリスマ社長を演じて以降、正統派イケメン俳優路線へと回帰していく。 確かに小栗は、どんな役を演じても隠しきれない華やかさが魅力ではあるものの、その華やかさゆえに、悪役や三枚目に染まりきれないことが彼の弱点だった。かつての小栗は、その華やかさを消すことで、実力派俳優に脱皮しようと悪戦苦闘していたのだが、『リチプア』を経てからは、隠しきれない華やかさを武器として使いこなせるように変化した。その結果、華やかさはそのままに、映画『銀魂』シリーズのようなコメディもこなせるようになった。 そして、役柄も『リチプア』の若手社長や『日本沈没-希望のひと-』(21年/TBS系)の若手官僚といった、多くの人を束ねるカリスマ的人物を演じる機会が増えていく。こういった役に説得力が宿るのは、彼自身が映画『シェアリー・サムデイ』等を通して、若手俳優たちをとりまとめる座長的存在へと成長したからだろう。その集大成が『鎌倉殿』の北条義時であることは、言うまでもない。 闇落ちこそしていないが、鎌倉幕府をまとめることで坂東武士の時代を作ろうと奔走する義時の姿と、俳優と日本のエンタメ業界のために奔走している小栗の姿はどこか重なる。隠しきれない華やかなオーラの中にコミカルな愛嬌と残酷なカリスマ性を内包する三谷史観の義時は、今の小栗にしか演じられない大役だったのだ。 いしだ壱成、90年代ドラマ『未成年』で見せた俳優としてのすごさ――「痛いおじさん」から脱却できるのか ――ドラマにはいつも時代と生きる“俳優”がいる。『キャラクタードラマの誕生』(河出書房新社)『テレビドラマクロニクル1990→2020』(PLANETS)などの著書...サイゾーウーマン2022.10.24 前のページ12 最終更新:2022/12/24 18:00 楽天 【楽天ブックス限定全巻購入特典】大河ドラマ 鎌倉殿の13人 完全版 第四集 ブルーレイ BOX【Blu-ray】(マグカップ(タイトルロゴ)+ブロマイド13枚セット) 華やかさが隠し切れないなんて羨ましいけど 関連記事 NHK『鎌倉殿』、小栗旬の「鶴岡八幡宮の大階段」発言は史実か否か?いしだ壱成、90年代ドラマ『未成年』で見せた俳優としてのすごさ――「痛いおじさん」から脱却できるのか嵐・二宮和也、『ハンドク!!!』から『マイファミリー』まで変わらぬ刺々しさ――見ていてイラッとする俳優としての“魅力”Netflix『ヒヤマケンタロウの妊娠』が“リアル”に感じるワケ――斎藤工の男性妊夫が象徴するものは何か木村拓哉、“封印”されたドラマ『ギフト』の魅力――今とは違うダークヒーローとしての存在感 次の記事 タサン志麻【ツナカレー】はレンチン5分 >