コラム
【連載】堀江宏樹に聞く! 日本の“アウト”皇室史!!

エリザベス女王と昭和天皇にみる「マスコミの情報操作」ーー“開示的”すぎた宮内庁の失敗とは?

2022/12/03 17:00
堀江宏樹(作家・歴史エッセイスト)

――うーん、でもこれは完全にマスコミのほうが悪いように思われます。一般的に本人への「がん告知」がなされていなかった時代に、自身の病気について報道で知るなんていくらなんでも……。

堀江 はい。イギリス王室も「秘密主義」で知られ、とくに王室のメンバーの健康状態については「詳しい発表はしない」という姿勢をバッキンガム宮殿の広報部にも固持させています。

 それに比べると、昭和末の昭和天皇の病状については、体温や食事内容などがテレビのテロップになって何時間かごとに流されるなど、毎日、かなり詳細な情報が宮内庁からは出されていたことがわかります。

――しかし、それでも宮内庁は秘密主義であるとか、まどろっこしいといわれつづけ、あげくのはてにオフレコの情報としていた「陛下の病名はがん」が、一部の報道機関にすっぱ抜かれてしまったということなんですね。

堀江 そうですね。宮内庁がマスコミ相手に天皇陛下の病状を事細かに報道したのは、昭和天皇の事例が日本史初のことでした。だから、出すべき情報と、たとえオフレコでも出さないでおくべき情報の取捨選択がうまくいかず、結局はめちゃくちゃになってしまったということだと思われます。

 がんの告知は、現代でも難しいテーマですよね。しかもそれが末期がんとなると……。

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