『ザ・ノンフィクション』レビュー

『ザ・ノンフィクション』コロナと物価高、“勝負師”なフィリピン人店主の一手は?「母と娘のラーメン ~ピンチをチャンスに変える人~」

2022/11/22 15:53
石徹白未亜(ライター)

家族への愛情表現がストレートなフィリピン人と、ツンデレな日本人

 筆者は語学留学でフィリピンに滞在していたことがあるが、一番のカルチャーショックはフィリピンの人たちの家族愛のストレートさだった。語学学校の先生やタクシーの運転手が、とにかくうれしそうに家族の話をする。

 語学学校の先生は20代の女性が多かったのだが、週末は家族の元へ帰省し、一緒に過ごすのが楽しみだと話していて、「年ごろなのに家族の優先度がそんなに高いの?」と驚いたものだ。そのため、カンラスの「由奈大好き!」な態度もうなずけるものがある。

 一方で、熱烈な母からの愛情に対し、由奈は塩対応。それについて番組スタッフから尋ねられた由奈は「あなた(カンラス)のために(自分が)努力しているのがバレないようにつんつんしてる」と答えていた。

 実際は母親を愛し、力になりたいと努力しているものの、ストレートに愛情を伝えないツンデレ感は、日本風な家族への愛情表現に思えた。特に相手が親だと照れてしまう、というのも日本的だ。ストレートで熱烈なカンラスの愛情表現の元で育てられたであろう由奈が、それでも日本的なツンデレ愛情表現をするのは興味深い。

 ただ、愛情の表現方法は違っていても、カンラスと由奈はお互いを思いやるいい親子のように見えた。


 次週のザ・ノンフィクションは『あの日 妹を殺されて2 ~たとえ裏切られても~』。建築会社社長の草刈健太郎は、自社に元受刑者を雇い入れる社会支援を行っているが、全員が更生できるわけではなく、現実は裏切られることも多い。また、草刈は妹を殺され喪った被害者遺族でもある。そんな草刈の活動を見つめる。

石徹白未亜(ライター)

石徹白未亜(ライター)

専門分野はネット依存、同人文化(二次創作)。ネット依存を防ぐための啓発講演も行う。著書に『節ネット、はじめました。』(CCCメディアハウス)など。

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いとしろ堂

最終更新:2022/11/22 15:53
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騙されて日本に来たというのは胸が痛い