カルチャー
『中学受験 やってはいけない塾選び』著者・杉浦由美子さんインタビュー

中学受験、塾費用は「月20~30万円」が平均の時代に? 共働きママが「狂気を持ったATM」と化すのはなぜか

2022/11/05 18:00
サイゾーウーマン編集部
中学受験 やってはいけない塾選び』(青春出版社)

 中学受検熱が高まる中、青春出版社が「最強の塾ガイド」と銘打って発売した『中学受験 やってはいけない塾選び』の初動が好調だという。ノンフィクションライターの杉浦由美子さんが各塾の幹部に直撃取材し、普通ならば聞きにくい質問をしているのが、本書の見どころだ。

 ちまたで「ハードルが高い」と評判のサピックスの入塾テストは実際どの程度難しいのか、早稲田アカデミーの「脱体育会系」は本当なのかといった各塾の実情ほか、自習室はあるのか、質問対応はどうなのかといった各塾の細かいデータも掲載されている。

 そんな本書を読むと、最近では、サピックスや日能研などの4教科型の塾と、「それらの塾に通うための塾」を併用することが普通になっていることがわかる。塾を増やせば費用もかさんでくる。なぜ、そんなに中学受験は費用をかけるケースが増えたのか。今回、著者の杉浦さんに、加熱する現在の中学受験塾への課金事情を聞いた。

中学受験の塾代は「月20万円」が普通になっている?

――著書の中に、子どもを複数の塾に通わせ、塾代が「月20~30万円」というケースが出てきて驚きました。さすがに特殊な例で、平均ではないんじゃないかと思ったのですが。

杉浦由美子さん(以下、杉浦) 最初、私もそういう話をいくつか聞いて「取材先が偏っているのかな」と感じました。それで大手塾の校舎長に聞いたら「月に20万円ぐらい使うのが普通になっているんですよ。うちの個別指導塾にも、他塾の生徒さんがたくさん来ています」と笑顔でおっしゃいました。ほかの取材先で同じ質問をしても同じような答えが返ってきたので、決して特別な例ではないんですよ。
 
――今、個別指導塾という言葉が出ましたが「塾に通うために塾に通う」んですね。なぜそうなっているのでしょう。
 
杉浦 保護者さんの世代ですと、街の小さな個人塾で受験対策をしていたというケースも多いんですよ。そういう塾は手厚くて、わからないところがあればベテランの先生がマンツーマンで教えてくれるんですから、何の不自由もなかったんです。

 ところが今、東京ではそういう個人塾は減り、大手塾の寡占状態。浜学園やサピックスはテキストが本当に素晴らしいのですが、個人塾のような手厚さはありません。そうなると、親が宿題を管理してやらせる必要が出てくるものの、今は働くママが増えていますからそうも宿題に付き添えないので、個別指導塾にアウトソーシングするんです。

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