コラム
“噂の女”神林広恵の女性週刊誌ぶった斬り!【第616回】

香川照之の性加害報道でクローズアップされた、マスコミや企業の意識の低さ

2022/09/06 21:00
神林広恵(ライター)
「週刊女性」9月20日号(主婦と生活社)

下世話、醜聞、スキャンダル――。長く女性の“欲望”に応えてきた女性週刊誌を、伝説のスキャンダル雑誌「噂の真相」の元デスク神林広恵が、ぶった斬る!

 またしても痛ましい事件が。静岡県の幼稚園の送迎バスに取り残された3歳の女児が死亡した。2021年には福岡県の保育園で送迎バスに取り残された5歳男児が死亡する事件があり、大きく報道されたのに、またも同様の事件が起こってしまった。過去の事件やさまざまな問題を教訓にできない愚かさ。最近でも話題の性加害も同様か――。

第616回(9/1〜9/6発売号より)
1位「香川照之 『楽屋でも無視されて…』現実味を帯びる梨園からの追放危機」(「週刊女性」9月20日号)
同「香川照之 性加害騒動で『消えた年収5億円』『蜜月TBSも出演禁止』」(「女性自身」9月20日号)
2位「告発された元ジャニ山本亮太 『深く反省しています』 2度目の“懺悔”と“3P”要求の裏事情」(「週刊女性」9月20日号)
3位「中森明菜」20年恋人と決裂!『紅白で歌う』新生歌姫を支える最強応援団」(「女性自身」9月20日号)

 香川照之の性加害問題が大きな展開を見せている。金曜MCをつとめる情報番組『THE TIME,』(TBS系)の降板が発表されたのを皮切りに、トヨタが契約の年内終了など、スポンサーも次々と撤退を表明。NHKもまた『昆虫すごいぜ!』の打ち切りを発表するなど、続々と香川から手を引き始めたのだ。

 当然のことだが、しかし先週までは当然ではなかった。『THE TIME,』は香川本人に謝罪はさせて降板はさせず、またスポンサー各社も「今後を注視する」などといって契約継続を示唆、NHKに至っては「現時点で降板などの対応を取る予定はありません」と番組続行を明言していたのだ。マスコミや企業による性加害や女性に対する人権意識に欠けたありえない判断だが、日本はそういう国らしい。

 しかし、流れは変わった。この問題をスクープした「週刊新潮」(新潮社)が9月8日号で続報を掲載、そこには香川が恐怖の満面の笑みでホステスの髪を掴んでいる衝撃的な写真が掲載された。さらに同日発売の「週刊文春」(文藝春秋)で、香川の番組スタッフへの暴行やパワハラが報じられたことで、一気に変化した。テレビ局もスポンサーも慌てふためくように、香川から手を引く事態となったのだ。

 だが、もし「新潮」の続報写真や「文春」の後追いスクープがなければ、香川は情報番組にMCとして出演し続け、またスポンサーCMもお茶の間に流され続けたということでもある。まるで何もなかったかのように。そう考えるとぞっとするが、それもまた現在の日本のマスコミや企業の意識の低さなのだろう。

 したがって「新潮」の続報とインパクトのある写真は、香川の卑劣さと同時に、性加害やセクハラといった差別に対するマスコミや、その意識の低さをクローズアップさせた。そういう意味でも貢献は大きいと思う。

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