コラム
私は元闇金おばさん
元闇金おばさんが見た「過払い金請求」ブーム――「ふざけた野郎だ」と社長は激怒するけれど……
2022/09/03 16:00
「いらっしゃいませ。今日も暑いですね。いま、おしぼりと麦茶をお持ちしますので、少しお待ちください」
「おお、ありがとよ。今日も優しいねえ」
何度か接客しているうち、軽口をたたかれるまでの関係になった立山社長(当時64歳)は、手形集金があるたび、ウチの会社で割引(受け取った手形を支払期日より前に現金化すること)をしていました。手形を発行する振出人は上場企業で、倒産の心配はほとんどなく、どこに持ち込んでも割り引ける銘柄といえるでしょう。
その割引料(買取日から支払期日に至るまでの利息のこと)は年10%で、物的担保なしに行う信用貸付と比べれば安く感じますが、銀行の5倍以上といえるレベルの料率です。
「立山社長は、どんなご商売をやられているんですか?」
「ウチは、輸入卸業者だよ。ヨーロッパから衣類や雑貨、インテリア小物なんかを輸入して小売店に卸しているの。ここの社長とは、創業以来の付き合いでさ。銀行と違って、苦しいとき世話になったから、いまもこうしてお付き合いしているってわけ」
この日の取引は120万円。金銭消費貸借契約書(借用書のこと)と裏書された手形を受け取り、4カ月先とされた支払期日までの割引料を天引きした金額を、立山社長の接客にあたる社長に手渡します。