コラム
【連載】堀江宏樹に聞く! 日本の“アウト”皇室史!!

天皇の性教育にも用いられた“セックスマニュアル”? その刺激的な内容とは

2022/08/13 17:00
堀江宏樹(作家・歴史エッセイスト)

堀江 当時の医学において、精液は男性にとって健康や若さを維持するために大事なものだとされていて、無闇に発射していいものではないのですね。とはいえ、本当に男性が射精しなければお世継ぎも得られません。ちなみに射精マニュアルは「施写(せしゃ)」と題された章に収められていて、このタイトルのニュアンスは「施しとしての射精」という意味くらいでしょうか。

――施しとしての射精……なんだか上から目線ですね(笑)。たしかに高貴な方と交わって、彼の子種が欲しい! という女性には「射精は男性からの施しもの」という感覚はあったかもしれませんが……。

堀江 射精可能数の目安もあります。15歳とか20歳の元気な男の子は1日2回出してもOK。同じく元気な30歳は1日1回なのだそうですが、現代日本でもときどき話題になる「男性更年期」を意識しているのでしょうか、40歳になると3日に1回と射精しても支障ない回数がガクンと落ちているんですよね……。

 そもそも『医心方』の「房内」自体が、若くてピチピチの男性が想定読者というわけではなく、「男性更年期」あたりの年齢層の権力者の男性を想定した書物であろうと思うんですね。「30歳以下の子どもを生んだことがない女性」なんて条件をつけて、10人以上の女性を身辺に侍らせることができる人は、古代日本でもごく少数だったと思います。

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