カルチャー
【サイジョの本棚・打ち合わせ編】
A.B.C-Z・戸塚祥太の愛読書『人間』読んでみたら、ジャニーズJr.時代の“坊主”姿を思い出したワケ
2022/07/31 11:00
編集・B子 『人間』は4章構成になってるんだよね。ざっくり整理すると、1章は永山の学生時代がメイン、2章は永山の現在と、芸人で小説家の「影島道生」が学生時代の親友「奥」であることに思い至る流れがつづられて、3章で影島との再会や、影島の記者会見の一部始終、4章は永山が両親の住む沖縄で過ごした日々が描かれてる。
ライター・保田 私は「青春の終わりと『その後』」を書いた作品だと感じたけど、複数のテーマが盛り込まれているから、読み込めば読み込むほど、いろんな解釈ができるように書かれているんだよね。そのうえ、文庫化にあたって1万字も加筆されているから、戸塚さんが「祝杯」をあげたくなる気持ちはよくわかる(笑)。
編集・B子 2章で学生時代の恋人・めぐみと再会した時、永山が1章で語ってきた回想と微妙にズレた会話が進むところは、叙述ミステリーみたいで面白かった。会話の相手がさらっと別の女の子になってたり、読んでて「あれ?」ってなるの。
ライター・保田 そこを読むと、かつての親友・影島と偶然再会する場面も、「永山は本当に再会したの?」って疑っちゃうよね。両親の出身地も同じで、どちらも歯を失ってたり……「どちらかの内省のために生み出された、仮想の存在では?」と思っちゃう。再会してないと矛盾するところも出てくるから、答えはないんだろうけど。
編集・B子 とっつーの愛読書でもある太宰治の『人間失格』(筑摩書房)や、ゴッホ作品の引用を見つけた時はテンション上がった。もっと読み込んで、とっつーと“考察合戦”やりたいわー!