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『ザ・ノンフィクション』レビュー
『ザ・ノンフィクション』親への禍根とゴミ屋敷「片付けられない部屋 ~ゴミの中に埋もれた思い出~」
2022/07/25 18:38
親との間には溝があるみずきだが、部屋の片づけを手伝ってくれるみくがおり、勤務先の社長も女性服を着たい男性客の気持ちを知りたいという思いでみずきを採用するなど、「職場の社長」と「友人」という、ピンポイントの人間関係はむしろ恵まれているようにも見えた。
一方で、みずきは会社の同僚とは一緒にご飯を食べることもなく、「誘われ待ち」な状況のようだ。番組を見た限りだが、みずきの人間関係は「極めて薄い(同僚たち)」か、もしくは、「かなり濃い(みく、社長、親、別れた彼女)」の2択のようにも見えた。
みずきは日常的に女装をしているので、人付き合いは、そんな自分をさらす覚悟とワンセットになりがちで、おのずと濃いものになるのだろう。
一方で、『ザ・ノンフィクション』を見ていると、重すぎない、寄りかかりすぎない「ちょっとした、ほんのりとした、ほのかな人間関係」が結構、人を救っていると思うことがある。腹を割って話すディープな関係だけが人間関係ではないし、ディープであればあるほど相手へ期待も増え、それゆえに失望しやすいところもある。
昨日見たテレビやスターバックスの新作など、ほど良い距離で他愛もない世間話ができる人がみずきに増えればいいなと思う。
次回は「ありのままでいいじゃない ~いしいさん家の人々~前編」。千葉県の「いしいさん家」は、認知症や統合失調症などの患者を預かる介護施設。多くの患者は暴力・暴言といった問題行動が激しく、ほかの施設からお断りされた人たちだ。スタッフの我慢も限界を迎え……。
最終更新:2022/07/25 18:40