コラム
“中学受験”に見る親と子の姿

過酷な中学受験はさせたくない! 教育ママに育てられた母が、娘と挑んだ「新タイプ入試」の結末

2022/07/24 16:00
鳥居りんこ(受験カウンセラー、教育・子育てアドバイザー)

 “親子の受験”といわれる中学受験。思春期に差し掛かった子どもと親が二人三脚で挑む受験は、さまざまなすったもんだもあり、一筋縄ではいかないらしい。中学受験から見えてくる親子関係を、『偏差値30からの中学受験シリーズ』(学研)などの著書で知られ、長年中学受験を取材し続けてきた鳥居りんこ氏がつづる。

写真ACより

 駅の周辺で、中学受験生と思しき小学生を見かけたことがある人は多いのではないだろうか。特にここ最近の首都圏では、中学受験が過熱しており、2022年の私立・国立中学校の受験者総数は5万1100人、受験率は17.30%と、いずれも過去最多・最高を記録(首都圏模試センター調べ)。このように中学受験は、とりわけ珍しくもない受験となっている。

 ただ、中学受験と聞くと「ねじり鉢巻き姿で盆も正月もなく、ひたすら勉強させられている小学生」の姿が思い浮かび、どこか敬遠してしまう人もいるだろう。しかし時代は変わり、今はひたすら勉強をすることが求められる知識重視の受験とは一線を画す「ニューウェイブ受験」が広がりつつあるのだ。

 これは「新タイプ入試」と呼ばれるもので、「自分なりの提案や意見をその場でいかに考え、表現できるか」を問う、思考力・判断力・表現力重視の入試を指す。

 新タイプ入試には、実にさまざまな形態があり、例えば、論述型、自己アピール型、思考力型、アクティブラーニング型、問題解決型、あるいはレゴブロックを使うなどのものづくり型、ワークショップ型、プログラミング型、ビブリオバトル型、プレゼンテーション型など、枚挙にいとまがない。

 なぜこのような入試が広がったかといえば、大学入試が欧米型の総合型選抜入試に変わってきていることが理由の一つ。これは、自分の力を社会でどう生かすのか、そのために何を学ぶのかを意識し、それを自分の言葉で語る力を重んじるという選抜方法で、中学入試でもその力を問うようになっているのだ。

 もう一つは、少子化が進む中、中学受験生の裾野を広げたいという各校の思惑があるからといわれている。新タイプ入試が広まったことで、結果的に、「小学生のうちから勉強漬けにさせるのは嫌だ」という層が、新たに中学受験へ参入するようになっているのである。

 年子の姉妹を育てる主婦・留美さん(仮名)は、今年、長女の絵美里さん(仮名)を、新タイプ入試である私立中高一貫校に入学させた。

「私自身も中学受験経験者なんです。でも、実は中学受験にはいい思い出がまったくなくて、今でも思い出すたびに、つらい気持ちになります」

 留美さんの母親はいわゆる“教育ママ”で、中学受験も母親の一方的な命令で始まったという。

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