仁科友里の「女のための有名人深読み週報」

叶姉妹の人生相談が「人を傷つけない」ワケ――ポスト瀬戸内寂聴としての腕前

2022/07/21 21:00
仁科友里(ライター)

叶姉妹はポスト瀬戸内寂聴

 自分に本気でない男性に時間を費やしている女性のお悩みに対して、恭子サンは「女性の人生をパールのネックレスにたとてみて。一粒一粒、川に捨てていってるようなもの。だんだんと捨てすぎてることを、ご自身が気づかない時に、最後に残るものはそれをつないでいた紐だけなんですよね。だから、ご自身の人生が真珠の玉をいくつ無駄にしないかを、よくよく考えてみたらいかがでしょうか?」と、たとえを使いながら、アドバイスしている。

 たとえというのは話をわかりやすくする効果もあるが、実は話の焦点をぼんやりさせる働きもある。なので、感覚が鋭敏な人は、叶姉妹の話から、より多くの教えをキャッチするだろうし、そうでない人はざっくり理解するだろう。

 先ほどの「自己肯定感高く、ポジティブに生きるコツは?」という悩みの回答の捉え方が、あるリスナーと私で違ったように、叶姉妹の人生相談は「人によって気づく点が異なる」ため、結果として「人を傷つけない」回答になっているのではないか。

 人生相談といえば、昨年亡くなった瀬戸内寂聴さんの独壇場だった。寂聴さんの人生相談の特徴は、夫を亡くして悲しみに暮れる女性が寂庵を訪れた際に「あなた、きれいだから恋愛でもしなさい」と勧めるなど、笑いを交えながら、「欲望を解放せよ」とする回答に特徴があったように思う。

 それに対し、叶姉妹が勧めるのは自由と責任。恋愛や結婚を重要視しなくなってきた現代に、ちょうどフィットしているのではないだろうか。ポスト寂聴さんは叶姉妹で決まりな気がする。


仁科友里(ライター)

仁科友里(ライター)

1974年生まれ、フリーライター。2006年、自身のOL体験を元にしたエッセイ『もさ子の女たるもの』(宙出版)でデビュー。現在は、芸能人にまつわるコラムを週刊誌などで執筆中。気になるタレントは小島慶子。著書に『間違いだらけの婚活にサヨナラ!』(主婦と生活社)、『確実にモテる 世界一シンプルなホメる技術』(アスペクト)。

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最終更新:2022/07/21 21:00
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