カルチャー
[再掲]北芝健氏インタビュー【後編】

東山紀之『刑事7人』ほか、7月期は“刑事ドラマ”多数! 元刑事に聞く「ベスト/ワースト」作品

2022/07/13 20:30
サイゾーウーマン編集部

――言われてみると90年代後半から、強烈な個性の刑事がドラマに登場するようになったと思います。

北芝 ただ単純に強烈なキャラクターが出てるだけでもダメなんです。例えば、『SPEC〜警視庁公安部公安第五課 未詳事件特別対策係事件簿〜』(TBS系、10→13年)は、IQ201という捜査官・当麻紗綾(戸田恵梨香)とその相棒・瀬文焚流(加瀬亮)が、特殊能力を用いた犯罪を捜査するという内容でしたが、「IQ201」という設定が生かしきれていなかったですね。

 あとは警察庁キャリアの大澤絵里子(天海祐希)が主役の『BOSS』(フジテレビ系、09→11年)。大澤を絶対的な存在にするために、キャリア出身という設定にしていましたが、現実ではキャリアは現場で捜査しないし、殴り合いも、張り込みも、カーチェイスもしないわけですから。明らかな設定ミスですね。

――ただ、昭和時代の刑事ドラマとは別のものを作りたいという制作側の思いは伝わってきますね。

北芝 かつての『太陽にほえろ!』(日本テレビ系、1972~86年)や『西部警察』(テレビ朝日系、79~84年)のように、集団で駆けずり回ってドンパチやるというような内容じゃ、もう視聴者にはウケないと制作サイドが感じているんでしょう。唯一、集団描写が優れていて、90年代にヒットした作品といえば、『踊る大捜査線』(フジテレビ系、97→12年)ですかね。余談ですが、実は主人公・青島俊作(織田裕二)のモデルは私なんです(笑)。

――え!? そうなんですか!

北芝 ドラマの中に「本店」「支店」、「キャリア」「ノンキャリ」などの用語が出てきましたが、『踊る大捜査線』が放送される前、フジテレビの映画関係者に、私がそういった話をしたことがあったんです。そして青島は大卒サラリーマンから警察官になったという設定で、米軍払い下げのコートがトレートマークですが、これは私と同じ経歴ですし、また私も新米刑事時代は同じコートを着て捜査してました。

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