東山紀之『刑事7人』ほか、7月期は“刑事ドラマ”多数! 元刑事に聞く「ベスト/ワースト」作品
少年隊・東山紀之が主演を務める連続ドラマ『刑事7人』(テレビ朝日系)の第8シーズンが、本日7月13日からスタートする。今回より、ジャニーズWEST・小瀧望がメインキャストに加わったことで、ジャニーズファンからも注目を集めているようだ。
7月期は同作のほかにも、各局で“刑事ドラマ”がラインナップされている。同じテレビ朝日系で『遺留捜査』が放送されるほか、日本テレビ系で『初恋の悪魔』と『オクトー 〜感情捜査官 心野朱梨〜』、テレビ東京系で『警視庁強行犯係 樋口顕』と『運命警察』が順次放送開始予定。テレビドラマ業界において、非常に人気の高いジャンルであることがうかがえるだろう。
そんな数ある刑事ドラマを、“本職”の人が見たらどう感じるのだろうか? サイゾーウーマンでは過去に、元刑事で作家の北芝健氏に「刑事ドラマベスト3/ワースト3」を聞いていた。『古畑任三郎』『相棒』『太陽にほえろ!』といった人気作の名前も飛び出したが、果たしてその評価は……!? 『刑事7人』の放送に合わせて、同記事をあらためて掲載する。
(編集部)
毎クール必ず一作品は放送されるほどの王道ジャンル「刑事ドラマ」。これまで数多くの刑事ドラマが放送されてきたが、本職の刑事(デカ)は、果たしてどう見ているのだろうか?
今回、大学卒業後に会社勤務を経て、警視庁に入庁後、刑事畑さらには公安畑も渡り歩いた異色の作家・ 北芝健氏に、刑事の間で高い人気を誇る刑事ドラマと残念ながら不人気だった刑事ドラマについてお話を聞いた。
<インタビュー前編はこちら>
『相棒』杉下右京は現代の刑事ドラマを象徴するキャラクター
――昭和から現代にかけて、登場する刑事のキャラクターに変化はありますか?
北芝健氏(以下、北芝) 前編でも触れましたが、“捜査マシーン”のような刑事が登場する作品が減り、刑事の人間としての厚みや陰影、アクの強さを前面に出していく作品が増えてきました。象徴的な作品としては、2000年から始まった『相棒』(テレビ朝日系)ですかね。主人公の杉下右京(水谷豊)は警視庁のキャリア出身ですが、全国およそ29万人の警官がいて、キャリア組は600人しかおらず、彼らが現場で捜査するなんてあり得ないこと。高級事務官僚ですから、人事に口を出したりはしますけどね。キャリア組は、地方を15~6回転勤するうちに、年季奉公が明ける……つまり定年になるのが現実なんです。
しかし、『相棒』の右京は自ら現場に足を運び、その頭脳で事件を解決に導きます。つまり設定自体にリアリティはないのですが、一方で、体を張るのは相棒・亀山薫(寺脇康文)に任せる描写は、なるべく現実に寄せようという狙いがうかがえますし、何よりヒットの最大の理由は、右京の“変わり者”なキャラクター造形と推理力でしょう。
ただ、そんな右京も、過去のさまざまなヒット作品からインスパイアされて生まれたキャラだと思います。代表的なのが、巧妙なトリックと軽妙洒脱な演出が話題を呼んだ作品『古畑任三郎』(フジテレビ系、1994→06年)ですね。主人公の古畑任三郎(田村正和)は、まだ警部でもない、やっとこさ警部補という階級ながら、頭は抜群に切れる風変わりな性格。それに輪をかけて変な味を出していたのが、巡査の今泉慎太郎(西村雅彦)でした。『古畑任三郎』の一風変わった登場人物たちは、右京のキャラクター造形にも影響を与えたのではないでしょうか。